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[SVC48-04] 吸気フィルタの火山灰目詰試験が示す火力発電の脆弱性
キーワード:火山灰, フィルタ, 目詰まり試験, 火力発電
桜島の大正噴火以降,日本ではこれを超える大噴火は起きておらず,日本の主要都市圏が大規模な火山灰災害を被ることは幸い起きていない.しかし,いずれそのような火山災害が発生することは避けられず,事前に都市型の災害を想定しておく必要があろう.特に日本では福島の原発事故以降,都市インフラの要である電力供給を過度に火力発電に依存する状況が続いている.電力各社は発電効率やCO2放出量の軽減のためにガスタービン(GT)を使ったコンバインドサイクル発電を進めてきているが,GTの基本機構は航空機のジェットエンジンと同じである.GT燃焼室の温度は1100-1450度と火山灰の融点を超えており,仮に噴火により火山灰がGTに吸引されると航空機と同様の深刻なトラブルが発生しかねない.GTの大気取り入れ口には吸気フィルタが装着されており,簡単には異物が内部に入り込まない構造となっているが,反対にフィルタの目詰まりがGTの機能を著しく阻害する可能性がある.このような背景から実際に火山灰を使ったフィルタの試験を行った.GTの吸気フィルタは通常,5μm以上の粒子捕集を目的としたプレフィルタ,5-1μmの中性能フィルタ,1μm以下の高性能フィルタの組合せで構成されている.また,フィルタの寿命は各フィルタ前後の圧力損失の増加量で管理されている.試験ではプレフィルタ単体,中性能フィルタ単体,両フィルタ二段組みに対して,3φ以下に粉砕した入戸火砕流堆積物を70,700,7000mg/m3の供給濃度,28,56m3/minの試験風量で供給し,圧損を計測した.3φの粒子を仮定した場合,700mg/m3の空間濃度は数mm/hの降灰に相当する.試験フィルタ定格の56m3/minの風量では,中性能フィルタ単体の交換圧損到達時間は1時間半から1分40秒で,供給量が多いほど時間は短くなる.プレフィルタを組み合わせると到達時間は3時間から3分30秒まで延びることが確認できた.プレフィルタ単体では交換圧損到達時間は更に長くなるものの,フィルタを通過して流入する火山灰量が多くなり,GTに対する影響が多大になろう.また,圧力損失を強制的に大きくした場合,中性能フィルタは推奨交換圧損である300Paを超えても2500Pa程度までは形状は維持可能であることが確認できた.ただし,これを超えるとフィルタに亀裂が発生し,フィルタが損傷する恐れがある.
本報告は,特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業として,原子力機構が実施した平成 26年度「外部ハザードに対する崩壊熱除去機能のマージン評価手法の研究開発」の成果の一部である.
本報告は,特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業として,原子力機構が実施した平成 26年度「外部ハザードに対する崩壊熱除去機能のマージン評価手法の研究開発」の成果の一部である.