日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS25] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 101A (1F)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(国土技術政策総合研究所)、座長:八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、小森 次郎(帝京平成大学)

09:00 〜 09:15

[HDS25-01] アンナプルナ・ラムジュン峰の氷河雪崩によるマディ川の洪水

*小森 次郎1ダンゴル ビシュヌ2 (1.帝京平成大学、2.トリブバン大学)

キーワード:氷河末端崩壊, 氷河湖決壊洪水, 地球温暖化, 衛星画像, ネパール, ヒマラヤ山脈

2003年,ネパール中部ポカラの北西のマディ川で洪水が発生した。この洪水はアンナプルナ山塊の氷河域を源としており,ネパールで発生した最新の氷河湖決壊洪水イベントとして記録されている(例えば国際総合山岳開発センター, 2012)。しかし,衛星画像を見ると氷河湖が存在しない。いっぽう,その東隣の谷にはラムジュン峰(6983m)に載る氷河から続く崩壊の痕跡が認められる。筆者らは複数の衛星画像の判読と現地の状況から,2003年の洪水は氷河から崩れ落ちた氷雪崩が原因であると判断した。
発表では,この谷で繰り返し発生している洪水の原因と今後の危険性について報告する。また更に、アジアの湿潤変動地域の災害の一つとして懸念されているモレーンダム湖からの氷河湖決壊洪水の発生頻度は増加する可能性は低く,今後は本発表でとりあげた氷雪崩の他,岩屑被覆型氷河内の水塊からの異常出水にも注視が必要であることを報告する。