18:15 〜 19:30
[O01-P08] ゆざわジオパークにおける教育活動について
キーワード:ジオパーク, 生涯学習, 学校教育
本発表では、ゆざわジオパークで実施している教育活動について紹介する。はじめに、実施した教育関係事業の概要について述べる。次に、「生涯学習」と「学校教育」に分けて、実施した活動事例を報告する。最後に、ゆざわジオパークにおける学習活動の今後の展開について述べる。
湯沢市ジオパーク推進協議会(以下、推進協)は、①市民向けジオツアーや出前講座、ガイド養成講座などの生涯学習の推進、②小学校・中学校・高校を対象にしたジオツアーや出前授業、③大学生や学会、教員向けのジオツアーや巡検、研修会、④体験会や親子対象のジオツアーなどのイベントを実施してきた。
事業数の推移を見てみると、ジオパーク推進活動を開始した当初は、「ジオパーク」とその考え方の普及も兼ねた①生涯学習への取り組みがほとんどであった。また、2014年度は、ジオパーク普及活動を少しずつ減少させているため、数が少なくなっており、今後も少なくなっていくと思われる。②学校教育への取り組みに関しては、日本ジオパーク認定を受けた2012年度の翌年度に事業数が急増している。2014年度は学校教育の取り組みが減っているように思われるが、これは推進協が介在せずに学校独自に活動が行われている結果だと考えられる(注1)。③大学生向けのプログラム等や④学習関連のイベントの実施・参加は徐々に、その数を増やしている。
生涯学習については、2014年度から「ゆざわ学講座」と「ジオサイト研究会」を開始した。「ゆざわ学講座」は、もともとガイド養成講座の初級の部として行われていたものを改講したもので、ゆざわの魅力について、周りの人に語ることができる人材の育成を目指している。そのような人材を増やしていくことによって、ツアーや出前講座による推進協を主体としたジオパークの周知から、ジオパークを語ることのできる人材を増やし、その人達にジオパークについて身近な人に広めてもらう間接的な周知へと変更していきたい。また、「ジオサイト研究会」では、既存のジオサイトの新たな魅力の発見と新規のジオサイト候補地の検討を目的として、推進協と市民が合同で調査を行っている。冬期間は気候上、実地調査をすることが困難なため、「学術調査報告書」を輪読し、毎回担当者を決めて注釈をつける作業を行っている。
学校教育に関しては、2013年度から引き続き、「ゆざわジオパーク学習発表交流会」を実施している。同会は、2012年度の「日本ジオパーク認定記念フォーラム」における小学生の発表が好評だったことをきっかけに企画された。ポスター発表の部を含めて、2013年度は7校、2014年度は8校が参加している。児童・生徒のジオパーク学習の成果を発表する機会を設けるとともに、交流会に参加する子供達の両親や祖父母などに、ジオパークを周知することを目的としている。また、同会で発表した学校を中心として、ゆざわジオパークにおける学習活動の記録を『ゆざわジオパークを活用した学習報告書』としてまとめている。ジオパークを利用した学習事例を蓄積することで、より多くの学校により良い形でジオパーク学習を行ってもらうことを目的としている。
最後に、まとめに替えて、今後の教育活動推進の予定について報告する。①生涯学習については、「ゆざわ学講座」や「ジオサイト研究会」を継続しながら、今までジオパーク活動への参加が少なかった層へのアプローチを行っていきたい。②学校教育に関しては、今年度、小学校高学年向けの副読本を制作する予定である。また、③大学生向けのプログラムとして、地域滞在型の教育プログラムの提供を委託事業として実施する。④学習関連イベントについては、周知を兼ねながら少しずつその数を増やしていきたい。
注
1:湯沢市内にある小学校(14校)・中学校(7校)・高等学校(3校)を対象にしたふるさと学習に関するアンケートでは、小学校6校、中学校2校、高等学校1校が、ジオパークもしくは地学に関係する学習を実施している。また、小学校8校、中学校1校、高等学校1校が、ジオサイト・ジオポイントに指定されているものに関係した学習を実施している。全24校中、19校が何らかの形でジオパークに関する学習をしている結果となっている(湯沢市ジオパーク推進協議会[2015])。
引用文献
湯沢市ジオパーク推進協議会[2015]『平成26年度 ゆざわジオパークを活用した学習報告書』.
湯沢市ジオパーク推進協議会(以下、推進協)は、①市民向けジオツアーや出前講座、ガイド養成講座などの生涯学習の推進、②小学校・中学校・高校を対象にしたジオツアーや出前授業、③大学生や学会、教員向けのジオツアーや巡検、研修会、④体験会や親子対象のジオツアーなどのイベントを実施してきた。
事業数の推移を見てみると、ジオパーク推進活動を開始した当初は、「ジオパーク」とその考え方の普及も兼ねた①生涯学習への取り組みがほとんどであった。また、2014年度は、ジオパーク普及活動を少しずつ減少させているため、数が少なくなっており、今後も少なくなっていくと思われる。②学校教育への取り組みに関しては、日本ジオパーク認定を受けた2012年度の翌年度に事業数が急増している。2014年度は学校教育の取り組みが減っているように思われるが、これは推進協が介在せずに学校独自に活動が行われている結果だと考えられる(注1)。③大学生向けのプログラム等や④学習関連のイベントの実施・参加は徐々に、その数を増やしている。
生涯学習については、2014年度から「ゆざわ学講座」と「ジオサイト研究会」を開始した。「ゆざわ学講座」は、もともとガイド養成講座の初級の部として行われていたものを改講したもので、ゆざわの魅力について、周りの人に語ることができる人材の育成を目指している。そのような人材を増やしていくことによって、ツアーや出前講座による推進協を主体としたジオパークの周知から、ジオパークを語ることのできる人材を増やし、その人達にジオパークについて身近な人に広めてもらう間接的な周知へと変更していきたい。また、「ジオサイト研究会」では、既存のジオサイトの新たな魅力の発見と新規のジオサイト候補地の検討を目的として、推進協と市民が合同で調査を行っている。冬期間は気候上、実地調査をすることが困難なため、「学術調査報告書」を輪読し、毎回担当者を決めて注釈をつける作業を行っている。
学校教育に関しては、2013年度から引き続き、「ゆざわジオパーク学習発表交流会」を実施している。同会は、2012年度の「日本ジオパーク認定記念フォーラム」における小学生の発表が好評だったことをきっかけに企画された。ポスター発表の部を含めて、2013年度は7校、2014年度は8校が参加している。児童・生徒のジオパーク学習の成果を発表する機会を設けるとともに、交流会に参加する子供達の両親や祖父母などに、ジオパークを周知することを目的としている。また、同会で発表した学校を中心として、ゆざわジオパークにおける学習活動の記録を『ゆざわジオパークを活用した学習報告書』としてまとめている。ジオパークを利用した学習事例を蓄積することで、より多くの学校により良い形でジオパーク学習を行ってもらうことを目的としている。
最後に、まとめに替えて、今後の教育活動推進の予定について報告する。①生涯学習については、「ゆざわ学講座」や「ジオサイト研究会」を継続しながら、今までジオパーク活動への参加が少なかった層へのアプローチを行っていきたい。②学校教育に関しては、今年度、小学校高学年向けの副読本を制作する予定である。また、③大学生向けのプログラムとして、地域滞在型の教育プログラムの提供を委託事業として実施する。④学習関連イベントについては、周知を兼ねながら少しずつその数を増やしていきたい。
注
1:湯沢市内にある小学校(14校)・中学校(7校)・高等学校(3校)を対象にしたふるさと学習に関するアンケートでは、小学校6校、中学校2校、高等学校1校が、ジオパークもしくは地学に関係する学習を実施している。また、小学校8校、中学校1校、高等学校1校が、ジオサイト・ジオポイントに指定されているものに関係した学習を実施している。全24校中、19校が何らかの形でジオパークに関する学習をしている結果となっている(湯沢市ジオパーク推進協議会[2015])。
引用文献
湯沢市ジオパーク推進協議会[2015]『平成26年度 ゆざわジオパークを活用した学習報告書』.