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[SVC48-08] 富士山における落石と登山者事故の特徴
キーワード:登山, 山岳観光, アグルチネート, 人為落石, 噴火静穏期, 事例研究
山岳から丘陵域で発生する斜面移動現象の中でも,落石は日常的な現象である.特に活動的な火山地域では噴火静穏期であっても,小規模な斜面崩壊を含むこれらの現象は珍しいものではない.それでも,道路や居住地周辺の斜面対策が多くで施されている日本の場合は,落石と言う現象は滅多に遭遇しない現象である.しかしその一方で,余暇としての観光や登山が発達したこの国では,落石を知らない人が山岳域へ立ち入るため,実は落石のリスクは高いとも考えられる.
日本の山岳観光地や登山道の中で,過去34年間で落石事故が最も多いのは白馬大雪渓,次に富士山である.また,記録に残るものとして最も大きな被害となった落石事故は,12名の死者を出した1980年8月の富士山吉田大沢での事象である.事故のあった登山ルートはその後閉鎖されたが,他のルートでは毎年のように落石死傷事故が発生している.しかも,富士山の登山者数は過去7年間で毎年30万人を前後しており,世界遺産に登録されたこともあり年齢も国籍も多様化している.そこで,富士山の落石事故の事例と発生危険箇所について調べてみた.本発表では,4つの登山ルートにおける落石危険箇所とその地質的要因,および対策案について報告する.概要は以下の通りである.
- 吉田・須走ルート,富士宮ルート,御殿場ルートいずれも,主な落石事故は八合目と山頂の間で発生している.
- 落石事故は登山者が集中する7月中旬から8月に集中して発生している.
- 1日のなかでの落石事故の発生時間帯に偏りは見られない.
- 人為落石(他の登山者によって発生した落石)は下山者,特に一般ルートから外れた登山者から発生することが多い.
- 自然落石は落石は溶岩またはアグルチネートの塊状部分が主な発生源となる.特に富士宮側の山頂直下の岩盤には多数の開口亀裂があるが,その下には登山道が続いている.安全のためにはルートの付け替えも検討が必要であろう.
日本の山岳観光地や登山道の中で,過去34年間で落石事故が最も多いのは白馬大雪渓,次に富士山である.また,記録に残るものとして最も大きな被害となった落石事故は,12名の死者を出した1980年8月の富士山吉田大沢での事象である.事故のあった登山ルートはその後閉鎖されたが,他のルートでは毎年のように落石死傷事故が発生している.しかも,富士山の登山者数は過去7年間で毎年30万人を前後しており,世界遺産に登録されたこともあり年齢も国籍も多様化している.そこで,富士山の落石事故の事例と発生危険箇所について調べてみた.本発表では,4つの登山ルートにおける落石危険箇所とその地質的要因,および対策案について報告する.概要は以下の通りである.
- 吉田・須走ルート,富士宮ルート,御殿場ルートいずれも,主な落石事故は八合目と山頂の間で発生している.
- 落石事故は登山者が集中する7月中旬から8月に集中して発生している.
- 1日のなかでの落石事故の発生時間帯に偏りは見られない.
- 人為落石(他の登山者によって発生した落石)は下山者,特に一般ルートから外れた登山者から発生することが多い.
- 自然落石は落石は溶岩またはアグルチネートの塊状部分が主な発生源となる.特に富士宮側の山頂直下の岩盤には多数の開口亀裂があるが,その下には登山道が続いている.安全のためにはルートの付け替えも検討が必要であろう.