日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD23] 重力・ジオイド

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 102A (1F)

コンビーナ:*西島 潤(九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門)、青山 雄一(国立極地研究所)、座長:名和 一成(産業技術総合研究所)、田中 俊行(公益財団法人地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所)

09:00 〜 09:15

[SGD23-07] 東南極の日本の南極基地周辺での重力異常と氷床変動

*福田 洋一1青山 雄一2土井 浩一郎2山本 圭香3松尾 功二4野木 義史2 (1.京都大学大学院理学研究科、2.国立極地研究所、3.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、4.国土地理院)

キーワード:重力異常, 氷床質量変動, GIA, 絶対重力測定, GOCE

日本の南極観測基地がある東南極のドローニング・モード・ランドからエンダービーランドにかけての地域は、ゴンドワナ大陸の形成と分裂の鍵を握る地域であり、様々な地球科学的研究が行われている。また、昭和基地の南西に位置する白瀬氷河は、南極で最も大規模な氷河の一つであり、この地域の氷床流動に深く関わることから雪氷学的な研究も積極的に進められている。さらに、最近のGRACEによる衛星重力観測や、IceSat、Envisatなどの衛星高度計観測の結果によると、この地域では、降雪により、氷床質量が増加していることが示されており、南極での氷床変動や、また、それと関連したGIA(Glacial Isostatic Adjustment)の研究でも重要な地域となっている。
これらの研究への寄与を一つ目的として、これまでJARE (Japanese Antarctic Research Expedition )によって得られた地表重力データと最新のGOCE衛星による重力場モデルを用いた統一的な重力場推定を行っており、それらの結果はJpGU大会等で報告してきた。また、2014年大会では、あすか基地近傍のシール岩の重力基準点で実施した絶対重力測定の結果について報告を行った。ところで、この地域では、JARE-28により、北側のブライド湾からあすか基地を経て南のセールロンダーネ地域にかけての測線での重力測定が行われており、今回、この測線に沿って、上述の結果をもとに新たに求めて重力異常やGOCEの重力モデル、また、基盤地形などとの比較を行い、その特徴について再検討を行った。その結果、海岸線と山地の間に延びる負の重力異常は、その地域に堆積した厚い氷床の影響によるものであると推察できた。このような構造は、ドローニング・モード・ランドからエンダービーランドにかけての広い地域で見られ、これらの地域は、氷床質量の増加域とよく一致している。これらの関係については推測の域を出ないが、大陸の山地地形が降雪量の増加に関連するとともに、海岸との間の基盤地形が氷床流動に関わっていることが考えられる。