日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD23] 重力・ジオイド

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*西島 潤(九州大学大学院 工学研究院 地球資源システム工学部門)、青山 雄一(国立極地研究所)

18:15 〜 19:30

[SGD23-P03] 宮崎県の下のスラブ塊の沈下が沖の浅部を引き千切る現場と重力負異常領域が一致~日向灘地震活動の本質~

*間瀬 博文

プレート(P)収束帯では低温のPの斜め上斜め下に高温体が形成され互いに引き寄せ合う。東方から西進する高温体に乗るPとマントルウェッジは西進し、西方から東進する高温体に挟まれ圧縮される。これが収束帯の原動力・主構造と考え理論・実験・適用の各面で説明してきた。(1)(2)(3)他
1.力学の一般知識 2.上の仮説 3.地震波トモグラフィdVp(トモグラフィと略)の赤色は高温青色は低温と解釈 4.沈み込みスラブ(SSと略)はトモグラフィでは原則として青色で示されていると解釈
地震活動や重力異常を理解するため私は上の4点を手段としている。今回、トモグラフィは三次元をシームレスで把握できる(4)を利用させて頂いた。重力図(ブーゲー異常)は(5)を利用させて頂いた。
日向灘に中心を持つ負の重力異常領域(重力異常領域と略)の存在(5)を問題視してきたが、成果が発生しつつあるので報告したい。
(図面(注記等は英語)を参照のこと)
平面図はSSの形状、重力異常領域の分布、各断面の切断線位置(a-a'断面は鉤形)を表す。重力異常領域は県北部・県境のものと日向灘のものに大別される。特に後者は目の如き明瞭な中心と南へなびく尾を持ち印象的である。SSの南端がまさにその目の中で形成されている。各断面では高温体高1と高2の引き合いを黒矢印で示した。それに伴い発生する貫入圧力や陸の支持力をピンク矢印で示した。
断面1-1',2-2'では、高1が陸の下を東方奥深く貫入しそこでも高2と引き合う。黒矢印はSSを絞めて凹ませたり細くする原動力である。貫入部分の圧力が高まりSSは押し下げられ(青矢印)貫入部分は上下方向に拡がる。この密度の出入り勘定の結果によって県北部・県境の重力異常領域が存在するのだろう。
以上の作用でSSからスラブ塊(SB)が形成・分離すると考える。西側は西方の深部とは亀裂(青破線)で分断し滑っている。東側は浅部(日向灘)で締めと引き千切り(緑矢印)が発生している。宮崎県全域の地下でSBの垂直沈下が伺える。断面1-1'~9-9'はこの変動の、まるで定点における経時アニメのようである。
引き千切りと分離の現場は宮崎県中部沖で重力異常領域のピークと一致している(断面4-4'~7-7',a-a')。引き千切り作用で西下方へ物質が引き抜かれロート状に変形し密度減少により重力異常になると考える。南部ではすでに引き千切りが終了し完全分離している(断面8-8',9-9')。しかし依然と重力異常領域内であり南へ尾が伸びる。南から北進を続け現在に至る引き千切りの現場には重力異常のピークが影の如く伴って来た。現場が通過してもその場所の重力異常はすぐには改善しないから航跡(尾)として残ろう。一点鎖線は重力異常領域の中心線として描いた。なぜ二点鎖線(直線)の付近に存在しないかと考えるが現状は海岸線と共に東へ膨らんだ曲線である。地殻変動で鹿児島・宮崎南部だけが少変形のまま南東移動している(3)(6)ことと直結すると思われる。今後詳細に研究したい。
付近で発生した逆断層型地震(気象庁資料,1997年以降,発震機構と深度が判明)7個の位置を平面図(圧縮軸も)と断面図に記入した。これらは逆断層型を装うがまず下(斜め下)から引かれるからこそ発生する地震と認定したい。縦方向にて正断層型であり陥没型とか沈下型と呼ぶべきであろう。平面図の赤矢印は、引き千切られる直前で西下方から引く力に最大限抵抗しているであろう垂れ下がり部の壁の部分を指す。つまりこの近辺(断面2-2',3-3')の垂れ下がり部が物質の引き抜き作用の最前線である。平面的には内部の物質貧に対し東の外側から内に向け圧力がかかる。この圧力と赤矢印の対面が地震が発生する平面での圧縮方向分布を決定づける。平面図で7個中6個の圧縮軸の方向が圧縮方向分布予想(扇の骨状)に調和的である。
(1)間瀬/SSJ2010秋/P3-47 (2)間瀬/JpGU2012/SCG67-P06 (3)間瀬/SSJ2014秋/S03-P01
(4)AIST/地下構造可視化システム/トモグラフィデータby Abdelwahed and Zhao (2007)dVp
(5)AIST/地下構造可視化システム/重力図(ブーゲー異常)
(6)GSI/地殻変動アニメーション1996年4月~1999年12月鳥瞰図