日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC45] 活動的火山

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*青木 陽介(東京大学地震研究所)

18:15 〜 19:30

[SVC45-P22] 御嶽山における噴火過程の地震波形の比較

*大塚 仁大1藤原 善明1 (1.気象庁)

キーワード:御嶽山, 振幅比, 地震波形タイプ

はじめに
これまでに御嶽山で噴火した事例について、開田観測点(名古屋大学)と田の原上観測点(気象庁)の最大振幅の比から地震動の深さの推定(2007年、2014年の噴火)と、田の原上観測点の波形を基にして地震波形タイプの分類(1991年、2007年、2014年の噴火)を行い、これらから噴火前後の地震活動の特徴について調査した。
噴火の事例解析
2014年9月27日の噴火では9月10日頃から火山性地震が増え始め、地震波形タイプはA型地震(高周波)にBH型地震(やや高周波)が多く含まれるようになり、これらの地震は平常時の地震(振幅比が2程度)より浅い部分(振幅比が4前後)で発生するものが多かった。噴火の約10分前から観測された火山性微動は更に浅い部分(振幅比が6程度)での発生がみられ、合わせてBH、A型地震がもう一段浅い部分(振幅比が10以上)で発生し、噴火に至っている。噴火後は一旦、深い部分(振幅比が3程度)でBH型地震が発生した後、再び浅い部分(振幅比が8以上)でBL地震が目立つようになった。その後、振幅の大きな地震は一時的に低調となるが、10月半ばから発生した地震は深さ方向に纏まりが無く、その殆どはA型地震となっている。また、11月にはこれまでの微動より深い部分(振幅比が3前後)で微動が短期間、発生している。
2007年の噴火事例では、2006年12月から2007年1月に多発したBH型地震は、2014年のBH型地震の多発時よりやや深い部分(振幅比が3程度)で発生がみられた。1月25日の超低周波地震(VLF)発生時には、浅い(振幅比が大きい)部分でBH型地震と微動の急増がみられた。浅い(振幅比が8前後)部分で微動の発生が半月程続いた後、地震活動は一時的に低調となった。3月2日にBL型地震(低周波)が発生した以降、浅い(振幅比が大きい)部分でBH型地震と微動が発生する中でごく小規模な噴火が発生した。
1991年の噴火事例では振幅比は調査できていないが、地震タイプの分類によると地震が多発するまでは他の事例同様にA型地震が殆どで、地震の多発時にはBH型地震が多くみられ、BL型地震と微動も発生した。これらの地震多発から約1月後にごく小規模な噴火が発生している。噴火後も2月間程度は微動、BH、BL型地震が発生していた。
結果
これらの事例を振幅比でみた深さによると、平常時の地震より浅い部分でBL、BH地震と微動が発生した後に噴火する場合と、微動の発生や浅い部分での地震発生が無いまま噴火する場合がみられ、いずれの場合でも噴火前にBH型地震の増加がみられている。講演では、今回調査した地震波形とそれ以外の観測データを含めて噴火過程の類似点についても考察する。
謝辞
調査にあたり名古屋大学(開田観測点)の地震データを使用しました。記して感謝いたします。