日本地球惑星科学連合2015年大会

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[O-01] ジオパークへ行こう

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

18:15 〜 19:30

[O01-P07] アポイ岳ジオパークにおける小学校理科教育支援の取り組み

*加藤 聡美1 (1.アポイ岳ジオパークビジターセンター)

キーワード:アポイ岳ジオパーク, ジオパーク, 小学校理科教育, 火山, 大地のつくりと変化, 野外学習

小学校6年生理科「大地のつくりと変化」単元では、火山を扱うこととなっている。しかしアポイ岳ジオパークのある様似町には火山がない。また日本には近くに火山がない地域も多い。そこで火山のない地域で、より児童の理解を深める指導方法を検討した。
小学校教員対象のアンケートによれば、「地域性を生かした授業を行う場合に、資料や情報が入手しにくいもの」として80%以上が「地質」としている。「理科の指導で難しいと感じる内容」として50%以上が「天気・土地の変化」としている(道立教育研究所付属理科センター・北海道教育大学)。また多くの児童は、化石や火山はイメージしやすいが、住んでいるところの大地のつくりについてはイメージしにくいと感じている(浦河小学校)。
火山噴火を身近に感じ、火山・自然の力の大きさに迫ることを目的として、様似町の隣町である浦河町の浦河小学校と共に実践した取り組みを紹介する。

浦河小学校6年生の理科では「大地のつくりと変化」単元が11時間設定され、「地層・化石・火山・地震・褶曲・断層・水のはたらきでできた地層・火山のはたらきでできた地層、身近な大地のつくり」を扱う。その中でも、火山・身近な大地のつくりにおいて、アポイ岳ジオパークがかかわることとなった。
火山についての学習では、北海道の火山活動について講話を行った。火山のない浦河町の児童にとっても、火山噴火が身近なものに感じるように、同じ北海道胆振日高管内の有珠山噴火を取り上げた。有珠山の火山灰が浦河町にも降り積もった現象などについて、写真や鳥瞰図を用いて紹介した。
単元のまとめに向けて、身近な大地のつくりについて学ぼうと、様似町内2カ所の露頭で、実際に地層を見せ、含まれる小石などを観察させ、地層のでき方を考察した。火山が身近にないため、火山灰が積もってできた露頭を観察させた。浦河町の露頭を使用しなかったが、地質図を用いて、見学した様似町の地層は浦河町にも続いていることを伝えた。

児童にとっては、大地のつくりはイメージしにくいものであるが、野外学習を行うことで興味関心が高まり、深い学習ができると思われる。
 教員にとって、野外学習は事前調査や準備に時間がかかり、実施する難しさがある。野外学習の場所の情報提供、実物資料の提供、地域の地質に関する情報提供などを行い、学校と共に児童の指導に当たることによって、児童の愛郷心を高めていきたい。

<参考文献>
北海道における理科教育の充実を図るための調査研究-第5回本道の理科教育に関する実態調査-調査研究報告書(2012)北海道立教育研究所附属理科教育センター・北海道教育大学