日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-SD 宇宙開発・地球観測

[M-SD39] 宇宙食と宇宙農業

2015年5月24日(日) 17:15 〜 18:00 106 (1F)

コンビーナ:*片山 直美(名古屋女子大学 家政学部 食物栄養学科)、座長:片山 直美(名古屋女子大学 家政学部 食物栄養学科)

17:15 〜 17:30

[MSD39-01] 火星移住を想定した閉鎖空間滞在(MDRS Crew 137 Team JAPAN )2週間の体重、体組成変化報告

*片山 直美1 (1.越原学園 名古屋女子大学 家政学部 食物栄養学科)

キーワード:火星移住, 閉鎖空間, MDRS

目的:2014年3月1日から15日日まで行われたMDRS Crew 137 Team JAPANは13年間のMDRS研究で初めての日本人クルーのみによって行われた閉鎖環境利用研究である。2週間の間、水も食料も制限される中外部との接触を断たれ、あらかじめ予定された閉鎖空間での業務をこなし、無事に2週間を過ごす体験を行い、体重、体組成などの変化を記録し、今後のさらに長期間における閉鎖環境利用研究につなげる基礎データを取ることを目的とした。
方法:被験者は健康成人男性3名、女性3名で、事前の健康診断で治療を要する疾病がないことを確認したうえで実験に参加した。毎朝排尿後、体重と体組成を体組成計で測定し、血圧を血圧計で測定した。また、排尿回数、排便回数も自記式で記入した。
結果:6名の内、責任者となっているコマンダーの血圧が常時高く、また研究責任者となっているサイエンテイストの血圧も常時高くなっていた。食事は一日に3回、朝7時、昼12時、夜6時、3時から4時の間で間食もとっていた。食事のエネルギー比率は朝:昼:間食:夜=2:3:1:4とした。初めの1週間で全員の体重が徐々に増え、約1.5㎏の増加がみられた。そこで次の1週間は朝食と夕食を交換して全員の体重を2週間前とほぼ同じ状態に戻した。しかし6名全員の体組成は2週間で体脂肪率は増加し、体筋肉率は減少した。
考察:食事は3食と間食で栄養的には十分であっても、狭い空間で過ごすことで、全体的な運動量が減るため筋肉への負荷が減り、結果として体脂肪率が増加して、体筋肉率が減少したと考える。次回からは1万歩以上歩くことを想定して足踏み運動等を2時間以上負荷して体組成の変化を調べる必要があると考える。