18:15 〜 19:30
[SVC46-P17] 阿蘇巨大噴火の降灰シミュレーション
キーワード:移流拡散モデル, 巨大噴火, 火山灰, 降灰, 数値シミュレーション
気象庁東京航空路火山灰情報センター(東京VAAC)では、航空路上の浮遊火山灰による航空機への影響を回避するために、全球移流拡散モデル(JMA-GATM)を用いて火山灰の予測を行っている。このモデルは、気象庁全球モデルの結果(予報値または解析値(JMA, 2013))を大気場として利用し、移流過程・拡散過程・重力落下過程・沈着過程(湿性及び乾性)を考慮して火山灰粒子の時間発展を計算するモデルである。このモデルを用いて、巨大噴火の可能性が示唆されている阿蘇山噴火(Tatsumi et al, 2014)の降灰予測シミュレーションをおこなった。
阿蘇山は、約30万年前以降4回の巨大噴火を繰り返してきた。その中でも、約9万年前の噴火は最大規模であり、阿蘇4と呼ばれる。その降下堆積物(阿蘇4テフラ)は、北海道でも15cm程度の層厚が確認されるなど国内に広く分布し、後期更新世の重要な指標層の一つになっている。本研究では、阿蘇4に相当する巨大噴火を想定した数値実験をおこなった。火山灰の放出は一定強度で20時間継続し、総噴出量は7.2*1014kgと仮定した。
JMA-GATMの現業の利用では、噴煙柱モデル(Suzuki,1983)及び衛星観測から得られる火山灰分布を初期値としている。本研究では、より精度の高い火山灰の空間分布を初期値として与えるため、火山噴煙ダイナミクスの3次元数値モデル (Suzuki et al, 2005) によるシミュレーションを行い、噴火後3時間30分のトレーサー粒子分布の結果を用いた。ただし、JMA-GATMは、火山灰粒子が大気に逆らわず風に流されていることを仮定しているため、3次元数値モデルの計算結果から初期値を作成する際には、大きな上昇流を持つ火山灰粒子や、大気場(風速)と大きく異なる速度を持つ火山灰粒子は初期値から除いた。国内への降灰分布を評価するために、対流圏中層で南西風が卓越した気圧配置である2014年4月3日12UTCを初期値とする全球予報値を用いて、約3日後までの移流計算を行った。その結果、地上降灰は北海道で数cm~10cm程度となり、野外観察事実と整合的な降灰量を再現した。また、気象場以外は同じ条件にして、異なる気象場を用いて降灰予測シミュレーションをおこなった結果、国内へはほとんど堆積せずに太平洋へと飛散するなど様々なパターンが存在することを示した。
阿蘇山は、約30万年前以降4回の巨大噴火を繰り返してきた。その中でも、約9万年前の噴火は最大規模であり、阿蘇4と呼ばれる。その降下堆積物(阿蘇4テフラ)は、北海道でも15cm程度の層厚が確認されるなど国内に広く分布し、後期更新世の重要な指標層の一つになっている。本研究では、阿蘇4に相当する巨大噴火を想定した数値実験をおこなった。火山灰の放出は一定強度で20時間継続し、総噴出量は7.2*1014kgと仮定した。
JMA-GATMの現業の利用では、噴煙柱モデル(Suzuki,1983)及び衛星観測から得られる火山灰分布を初期値としている。本研究では、より精度の高い火山灰の空間分布を初期値として与えるため、火山噴煙ダイナミクスの3次元数値モデル (Suzuki et al, 2005) によるシミュレーションを行い、噴火後3時間30分のトレーサー粒子分布の結果を用いた。ただし、JMA-GATMは、火山灰粒子が大気に逆らわず風に流されていることを仮定しているため、3次元数値モデルの計算結果から初期値を作成する際には、大きな上昇流を持つ火山灰粒子や、大気場(風速)と大きく異なる速度を持つ火山灰粒子は初期値から除いた。国内への降灰分布を評価するために、対流圏中層で南西風が卓越した気圧配置である2014年4月3日12UTCを初期値とする全球予報値を用いて、約3日後までの移流計算を行った。その結果、地上降灰は北海道で数cm~10cm程度となり、野外観察事実と整合的な降灰量を再現した。また、気象場以外は同じ条件にして、異なる気象場を用いて降灰予測シミュレーションをおこなった結果、国内へはほとんど堆積せずに太平洋へと飛散するなど様々なパターンが存在することを示した。