日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS27] 津波とその予測

2015年5月27日(水) 16:15 〜 18:00 A04 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*林 豊(気象研究所)、行谷 佑一(独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、座長:柳澤 英明(東北学院大学教養学部地域構想学科)

16:30 〜 16:45

[HDS27-19] 2014年4月1日チリ北部地震津波の規模

*羽鳥 徳太郎1 (1.なし)

キーワード:津波規模, 津波波源域, 津波伝播状況

2014年4月1日23時46分(UTC)に,チリ北部でM8.2の大地震が空白域で発生した.津波が太平洋全域で観測され,最大波の片振幅値は震源付近のイキケ184 cm, アリカ200 cmであった.また,4月3日の余震(M7.7)も津波を伴った(アリカ 74 cm, イキケ 48cm).なお,3月16日にイキケ付近に前震(M6.7)があり,小津波を伴った. 本稿では,検潮記録(NOAA)をもとに,津波の規模, 波源域や伝播の状況を解析し,周辺域の津波と比較検討する.
各観測点からの逆伝播図によれば,波源域はチリ北部沿岸にそい,南北に長さ400 kmと推定され,1877年津波(m=4)の波源域と重なる(三陸・房総に浸水被害をもたらした).震源周辺の5記録の津波初動は押し波であり,海底の隆起を示唆する.震央距離と波高の関係図によれば,津波マグニチュードは本震:m=3, 余震:m=2と判定され,地震の規模と比べて標準値である.
太平洋域の波高分布で偏差をみると,チリ沿岸のアリカ・イキケは標準的である.北米沿岸ではクレセントシテイ16 cmが標準的,そのほか下回る地点が多い.ハワイと仏領ポリネシアで60 cm前後が大きい.日本沿岸の津波は,発震時から21―23時間後に観測された.岩手県久慈で55 cmが突出し,そのほかの地点では8―25 cmにとどまった. 以上,今回の津波規模は1868年ペルー,1877年の津波より小さく,今後もチリ北部の地震活動に注視したい.