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[SCG62-P13] 地震活動データと統計モデルに基づく日本周辺でのゆっくり変形検出の試み
キーワード:スロースリップ, ETASモデル, 地震活動, 定常地震活動度
スロースリップは、GPSなど測地学的手法に基づく観測によって主に検出されてきた。しかし、震源域の近傍に観測点がない地域や、稠密なGPS観測が始まる以前については、検出が困難である。したがって本研究では、気象庁の地震カタログデータに統計モデルの一種であるETASモデルを適用することで、日本周辺におけるスロースリップの検出を試みる。具体的には、余震の影響を取り除いた定常地震活動度というパラメータの値の増大に注目する。既知のスロースリップ発生期間におけるパラメータ推定の結果、数日から数週間に渡って発生するスロースリップイベントに関しては検出可能であることがわかった。さらに、伊豆・小笠原海溝北部、喜界島周辺でのスロースリップイベント、および2011年直後に富士山周辺でのマグマの貫入によるゆっくり変形を示唆する結果を得た。また、奥尻島周辺、喜界島周辺、種子島周辺、東北沖では、大地震後のアフタースリップの減衰、あるいは地震活動の静穏化を検出できた可能性がある。