日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS29] 断層のレオロジーと地震の発生過程

2015年5月24日(日) 12:00 〜 12:45 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*谷川 亘(独立行政法人海洋研究開発機構高知コア研究所)、飯沼 卓史(東北大学災害科学国際研究所)、三井 雄太(静岡大学大学院理学研究科地球科学専攻)、向吉 秀樹(島根大学大学院総合理工学研究科地球資源環境学領域)、座長:谷川 亘(独立行政法人海洋研究開発機構高知コア研究所)、向吉 秀樹(島根大学大学院総合理工学研究科地球資源環境学領域)

12:15 〜 12:30

[SSS29-02] 炭質物の熱分解による断層ガウジ黒色化

*金木 俊也1廣野 哲朗1 (1.大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)

キーワード:炭質物, 熱分解, 摩擦発熱, 断層ガウジ

地震性すべりによって断層では摩擦発熱と鉱物の破砕が生じ,地震後の物理化学的過程を経て断層ガウジが形成される.断層ガウジは時に様々な色(白色〜桃〜緑〜灰〜黒色)を呈するが,特に堆積岩に発達しているものは灰〜黒色であることが多い.しかし断層ガウジの色に関する研究はあまり行われておらず,摩擦仕事や摩擦発熱といったすべりパラメータとの関係性も不明である.したがって本研究では,堆積岩起源の断層ガウジ黒色化の原因について探るべく,粘土鉱物(モンモリロナイト)と石炭(瀝青質)を混合させたサンプルについて高速摩擦実験と粉砕ミル実験を実施し,可視・赤外・ラマン分光法を用いて解析を行った.その結果,実験前の石炭含有量が多いほど摩擦実験後のサンプルは黒色化しており,また粘土鉱物の表面からラマンG・Dバンドが検出された.以上を考察すると,摩擦発熱によって炭質物の熱分解反応が進行し,熱分解ガスが鉱物粒子の表面に吸着し,黒色化を引き起こしたと考えられる.よって,天然の黒色断層ガウジも300℃以上の高温を経ている可能性がある.