[H-CG35] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

[HCG35-P03] 検層データに基づくタービダイト・サクセッションの堆積相解析

*大西 由梨¹、佐々木 華¹、石原 与四郎²、高野 修³ (1.福岡大学大学院理学研究科、2.福岡大学理学部、3.石油資源開発技術本部技術研究所探鉱研究室シーケンス層序グループ)

キーワード：堆積相区分, タービダイトサクセッション, Hurst解析, ガンマ線検層

坑井において取得される様々な物理検層ログデータのうち，ガンマ線検層は岩相変化に最も的確に反応する．したがって，物理検層ログデータ上での岩相区分にはガンマ線検層が一般に用いられる．坑井におけるタービダイト・サクセッションにおいても，ガンマ線検層を用いて岩相区分および堆積相区分を行うことが可能である．しかしながら，検層データはデータ取得間隔の関係から分解能に制限が存在することや，区分解釈において客観性を保つ必要があることから，近年，ガンマ線検層のデータ解析を行って，堆積相やその層序的変化を検出するソフトウエアが開発されてきている（たとえば，ガンマ線検層のスペクトル解析を行うCycloLog^TMなど）．これらを用いると砂質・泥質な層準の抽出，層序的変化の規模の推定，ログ間の対比等を，客観的に容易にできるようになる．本研究では，タービダイト・サクセッションを対象に掘削されたガンマ線検層ログデータを用い，Sasaki et al.（in press）による葉理の認定手法およびHurst解析等の手法を用いることによって，堆積相解析を試みた．
Sasaki et al.（in press）は縞状堆積物の葉理境界を自動認定する上で，画像濃淡の変化率および振幅の中間値を用いた手法を用い，客観性と再現性のある葉理境界の認定を可能にした．この手法は2種類の葉理からなる縞を認定することができるので，本研究においても波形のパターンに基づき，砂岩優勢互層と泥岩優勢互層を区分できることが期待される．Hurst解析ではログデータのフラクタル性を検証でき，Sasaki et al.（in press）で区分された互層をユニットごとに特徴付けることができる．
　検討の結果，ガンマ線検層ログデータ上において，砂岩勝ち互層と泥岩勝ち互層が区分され，更に密度（RHOB）の情報を用いて高密度，低密度の互層かを評価することができた．Hurst解析では，ログデータの波形の持続性，すなわち，単調な波形が連続するのか，それとも複雑に変動するのかを評価できた．これらの結果を組み合わせることで，野外で認められる堆積相区分との対比が可能になることが期待される．
引用文献：Sasaki et al., in press, Journal of Sedimentological Society of Japan.