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[SMP42-04] 温度上昇に伴うアウインの構造変化
キーワード:アウイン, 変調構造, 単結晶X線回折, 高温実験, その場観察
アウイン,Na3CaSi3Al3O12SO4はソーダライト族に属する鉱物である。X線や電子線の回折像には衛星反射が観察され,変調構造をもつことが示唆されている (Saalfeld, 1961; Tsuchiya and Takeuchi, 1985 など)。また,加熱により,550℃から700℃の間で熱膨張は不連続となり,より高温側では膨張率が減少する傾向が観察されている(Taylor, 1968 など)。高温その場放射光X線粉末回折実験により,390℃と407℃の間で衛星反射のピークの消滅が観察され,この温度範囲での相転移を示唆している(Hassan et al., 2004)。本研究では,温度変化に伴うアウインの構造変化と熱膨張の不連続との関係を精査するために,2次元検出器により,高温その場単結晶X線回折実験を行った。
ドイツのアイフェル産のアウインを試料として使用した。組成分析にはエネルギー分散型X線分光装置(JEOL, JSM-7001F)を使用し,反射電子像から均質であることを確認し,組成式はNa2.83Ca0.95K0.21Si3.06Al2.93O12(SO4)0.95Cl0.03と決定された。高温その場単結晶X線回折実験は,イメージングプレート型X線回折装置(Rigaku, R-AXIS IV++)に馬蹄形白金ヒーター(Huber)を装着して行った。20℃から700℃までの8点で振動写真を撮影し,衛星反射の強度変化の観察と格子定数の決定を行った。画像データの解析にはCrystal Clear-SM 1.4.0(Rigaku)を使用した。
20℃の振動写真では,衛星反射のピークが観察され,主反射と衛星反射との間隔から,変調構造の周期は基本構造の周期の約8倍であると推測される。一方,高温側では,衛星反射のピークは600℃付近までは観察されたが700℃付近で消滅し,この温度範囲での構造変化を示唆している。格子定数は600℃付近と700℃付近の間で不連続がみられ,高温側では熱膨張率が減少した。本研究の結果はアウインの構造変化と熱膨張の不連続に相関があることを示唆している。
ドイツのアイフェル産のアウインを試料として使用した。組成分析にはエネルギー分散型X線分光装置(JEOL, JSM-7001F)を使用し,反射電子像から均質であることを確認し,組成式はNa2.83Ca0.95K0.21Si3.06Al2.93O12(SO4)0.95Cl0.03と決定された。高温その場単結晶X線回折実験は,イメージングプレート型X線回折装置(Rigaku, R-AXIS IV++)に馬蹄形白金ヒーター(Huber)を装着して行った。20℃から700℃までの8点で振動写真を撮影し,衛星反射の強度変化の観察と格子定数の決定を行った。画像データの解析にはCrystal Clear-SM 1.4.0(Rigaku)を使用した。
20℃の振動写真では,衛星反射のピークが観察され,主反射と衛星反射との間隔から,変調構造の周期は基本構造の周期の約8倍であると推測される。一方,高温側では,衛星反射のピークは600℃付近までは観察されたが700℃付近で消滅し,この温度範囲での構造変化を示唆している。格子定数は600℃付近と700℃付近の間で不連続がみられ,高温側では熱膨張率が減少した。本研究の結果はアウインの構造変化と熱膨張の不連続に相関があることを示唆している。