日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS30] 地震発生の物理・震源過程

2015年5月25日(月) 16:15 〜 18:00 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*安藤 亮輔(東京大学大学院理学系研究科)、加瀬 祐子(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)、座長:福山 英一(防災科学技術研究所)、矢部 優(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

17:00 〜 17:15

[SSS30-23] 2014年3月14日伊予灘稍深発地震の初期段階の破壊過程

齋藤 衛1、*小松 正直2竹中 博士2 (1.岡山大学理学部、2.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:震源過程, 初期破壊, 主破壊, 伊予灘

2014年3月14日に伊予灘でMJMA 6.2の稍深発地震が発生した.震源の深さは78 kmで,フィリピン海プレートのスラブ内で発生した地震である.本研究では,この地震について,発震後5秒間程度の比較的破壊初期段階の震源過程を明らかにする.観測波形記録には,初動Pの後に特徴的な三つの相P1,P2,P3が見られる.振幅は後ろの相ほど大きい.本研究では,初動Pと三つの相の到達時刻から,各相の発生位置および時刻を推定した.震央距離105 km以内に配置されている気象庁,防災科研,産総研,九州大学の各観測網の52観測点の高感度波形(地動速度)の上下動成分を使用し,初動及び各相の到達時刻を読み取った.各相の押し引きを,気象庁の初動発震機構解(strike slipタイプ)およびCMT解(逆断層タイプ)に比較したところ,P1相は前者に,P2相およびP3相は後者に対応し,それぞれ初期破壊相,主破壊相であると考えられる.各相と初動Pの到達時刻差を用いて,各相の発生位置よび時刻をTakenaka et al. (2006, EPS)の二次元探索法またはその三次元拡張版により推定した.その結果,PおよびP1相の発生地点は初動発震機構解の走向N22°E,傾斜角69°のほぼ東傾斜の断層面上にあり,P2相およびP3相の発生地点はCMT解の走向N244°E,傾斜角26°のほぼ北傾斜の断層面上にあることが分かった.2つの断層面は交差し,初期破壊から主破壊にかけて破壊が乗り移った,もしくは主破壊断層面の破壊を誘発したと考えられる.各相の破壊開始時刻に着目すると,発震時から0.49秒後に初期破壊断層面のイベントによってP1相が生じ,その後,破壊は初期破壊断層面と交差する主破壊断層面に移る,もしくは誘発し,発震時から1.82秒後に主破壊断層面上でP2相を放射するイベントが発生した.さらに,発震時から3.3秒後にP3相を放射した比較的大きなイベントが発生した.以上が,推定した本稍深発地震の初期段階の破壊過程である.