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[PEM27-P06] HFDにより観測された地震に伴う電離圏擾乱と地震動の関係
キーワード:電離圏, HFD, 地震, 音波, 地震計, 地震動
過去の研究より、巨大地震発生に伴い電離圏に擾乱が発生することが知られている。その発生メカニズムの1つとして考えられているのが、地震により発生したレイリー波などの表面波が遠方に伝搬し、その地震動が大気中に励起した音波が電離圏まで到達することで擾乱を起こすというものである。本研究では、HFD観測データより算出した電離圏上下方向擾乱速度と、その電波反射点直下の地震計データによる地震動の様子を比較することで、これらの間の関係性を解明することを目的とする。電気通信大学が行っている短波ドップラー(HFD)観測では、電通大調布キャンパスより送信され、電離圏で反射されたHF帯電波を各受信点で受信する。電離圏で擾乱が発生し、反射高度が変化すると、受信周波数がドップラーシフトを受けるため、その周波数変化から反射高度での電離圏の上下動を観測することが出来る。本研究では5006 kHzの受信データを用いた。また、電離圏速度算出においてより正確な値を求めるため、電離圏電子密度算出プログラムPOLANを用いてNICTのイオノグラムデータ(国分寺)より電子密度高度分布を求め、電波反射高度を決定した。地震計データには、防災科学研究所の強震観測網(K-NET,KiK-net)の地震波形データ(加速度)をフリーソフトWAVEANAを用いて速度表示したものと、広帯域地震観測網(F-net)の地震波形データ(速度)の2種類を用いた。
比較方法としては、HFD受信周波数データより算出した電離圏上下速度の最大値と、HFD反射点直下の2種類の地震計データによる地面の上下方向の速度の最大値それぞれとの相関をとることで比較を行った。比較に用いた事例は、2003~2013年に発生したM6.0以上の地震のうち、HFD受信周波数において変動が観測され、かつその直下の地震計において地震波形データが存在する地震すべてとした。HFD反射点は菅平、大洗、飯舘の3点でのデータを使用し、地震計はそれぞれその反射点直下に最も近い観測点のものを選んで用いた。
結果として、どちらの地震計との比較においても、最も対象イベント数の多い菅平での比較において、電離圏速度が地面速度の平方根に比例するという傾向が見られた。また、他2つの観測点においては、対象イベント数が少ないほど乗数、係数共に小さく、菅平の結果より離れていくという傾向が見られた。これは、イベント数不足により十分な統計が取れていないことによるものであると考えられ、イベント数増加に伴い菅平の結果に近づくものと考えられる。
比較方法としては、HFD受信周波数データより算出した電離圏上下速度の最大値と、HFD反射点直下の2種類の地震計データによる地面の上下方向の速度の最大値それぞれとの相関をとることで比較を行った。比較に用いた事例は、2003~2013年に発生したM6.0以上の地震のうち、HFD受信周波数において変動が観測され、かつその直下の地震計において地震波形データが存在する地震すべてとした。HFD反射点は菅平、大洗、飯舘の3点でのデータを使用し、地震計はそれぞれその反射点直下に最も近い観測点のものを選んで用いた。
結果として、どちらの地震計との比較においても、最も対象イベント数の多い菅平での比較において、電離圏速度が地面速度の平方根に比例するという傾向が見られた。また、他2つの観測点においては、対象イベント数が少ないほど乗数、係数共に小さく、菅平の結果より離れていくという傾向が見られた。これは、イベント数不足により十分な統計が取れていないことによるものであると考えられ、イベント数増加に伴い菅平の結果に近づくものと考えられる。