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[SSS31-P09] 2003年十勝沖地震における北海道地方の歪み異常分布の検出
GPSにより観測される地震時地殻変動を、半無限均質弾性体を仮定した断層モデルによる地震時地殻変動の理論値と比較することで、実際の地下構造を反映した歪み異常分布を検出できる (Ohzono et al., 2012)。本研究では、2003年十勝沖地震の地震時地殻変動から、北海道の地下構造を反映した歪み異常分布の検出を試みた。国土地理院のGEONET観測点のうち北海道地方の171点について、F3解を用いて2003年十勝沖地震の地震時変位とそれに基づく面積歪み (観測値) を計算した。得られた観測値を、国土地理院が報告している断層パラメータをOkada (1992) のディスロケーションモデルに代入する事で得た地震時変位から計算した面積歪み (理論値) と比較した。観測値と理論値は大局的には一致するものの、変化 (膨張や収縮) 不足あるいは変化過多の地域が混在し、北海道地方の歪み異常分布が検出された。この歪み異常分布をKita et al. (2012) で示された北海道日高地方の地震波速度構造と比較すると、日高変成帯直下の高速度域と膨張不足域の分布が一致した。さらに神居古潭帯の堆積層分布と膨張過多域の分布が一致した。このことから北海道日高地方における歪み異常分布は、地殻の強度や堆積層の低弾性定数といった不均質な地下構造との関係があるものと考えられる。