15:51 〜 15:54
[SSS32-P11] 紀伊半島南方沖の南海トラフの南側でのフィリピン海プレート内の微小地震活動の南限について
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:地震活動, 微小地震, OBS, 南海トラフ, アウターライズ
気象研究所では、紀伊半島南方沖において自己浮上式海底地震計(OBS)による海底地震観測を行っている。2005年から4年間の観測では南海トラフ軸周辺で深さ10kmから25kmの範囲で微小地震活動が起きていること確認した(山崎ほか,2011,気象研技術報告)。平田ほか(2012及び2013,連合大会, 2012,地震学会)は、紀伊半島沖(潮岬沖)のトラフ軸の南側から南へ約90kmに至る海域で2010年に観測を行い、回収したOBS22台で構成される観測網から、M1以下の極微小地震が深さ10km付近に集中して発生していることを明らかにし、これは、Obana et al.(2005, JGR)によるフィリピン海プレート内部の地震活動の分類において、海洋性地殻内部で発生しているものが続いていると考察した。
これらの極微小地震は、さらに南側までどの程度続いているのであろうか。これを調べるため、2013年及び2014年の観測では、2010年よりもさらに南側の、北緯31.5~32度付近の海域にOBSを等間隔に投入して、観測網を構成した。2013年、2014年とも、10台のOBSを回収後、投入時と回収時のGPS時計との時間差から時刻補正を行い、連続波形データからイベントトリガにより、地震イベントの可能性のあるものを抽出し、そのデータを検測して、震源決定(Hirata and Matsu'ura, 1986)を行った。用いた速度構造は、2010年観測の解析で平田ほか(2012, 2013)が用いたものと同じ(観測網近傍の構造探査(Kodaira et al.,2000)の結果から作成された1 次元速度構造モデル)である。また、海洋堆積層による速度低下分を補正するため、青木ほか(2003,地震第2輯)と同様な方法で、PS波変換波を検測してP波との到達時刻差から求まる堆積層の厚さを考慮した補正を実施した。
2013年及び2014年のOBS観測データの解析により、観測網付近で精度良く求めた震源は、M0.0~0.5を中心に分布し深さ約10kmで、2010年と同様の極微小地震が確認された。震源の数は、現在までの解析の結果であるが、2013年が36個、2014年が23個で、両者を合わせても2010年の112個(平田ほか,2013)の約半分である。観測時期が異なるものの、2010年、2013年、2014年のそれぞれの観測網内で、極微小地震は北側ほど活動度が高く南側ほど低調になっている。また、地震活動の南限をみるため、位置の精度が落ちるが観測網の外側に求まったM1~2程度の震源を確認したところ、観測網の北側と異なり、南側では震源が求まっていない。そのため、フィリピン海プレート内部のM1以上の地震活動は、2013年及び2014年に観測を実施した東経135.3度~136.3度付近において、北緯31.6~31.9度付近の海域が南限であると考えられる。
なお、観測に用いたOBSは速度型4.5Hz, 3成分で、設置及び回収は気象庁観測船(啓風丸及び凌風丸)で実施した。OBS観測データの期間、台数及び海域は以下のとおりである。
<2010年> 期間:2010/6/12~9/14(約3ヶ月間)、台数:22台、
海域:紀伊半島沖(潮岬沖)(北緯31.9~32.8度、東経135.6~136.2度の範囲内)
<2013年> 期間:2013/7/1~9/30(約3カ月間)、台数:10台、
海域:紀伊半島沖(2010年のさらに南) (北緯31.8~32.3度、東経135.8~136.3度の範囲内)
<2014年> 期間:2014/8/7~10/30 (約3ヶ月間)、台数:10台、
海域:紀伊半島沖(2013年の西側) (北緯31.6~32.3度、東経135.3~135.8度の範囲内)
これらの極微小地震は、さらに南側までどの程度続いているのであろうか。これを調べるため、2013年及び2014年の観測では、2010年よりもさらに南側の、北緯31.5~32度付近の海域にOBSを等間隔に投入して、観測網を構成した。2013年、2014年とも、10台のOBSを回収後、投入時と回収時のGPS時計との時間差から時刻補正を行い、連続波形データからイベントトリガにより、地震イベントの可能性のあるものを抽出し、そのデータを検測して、震源決定(Hirata and Matsu'ura, 1986)を行った。用いた速度構造は、2010年観測の解析で平田ほか(2012, 2013)が用いたものと同じ(観測網近傍の構造探査(Kodaira et al.,2000)の結果から作成された1 次元速度構造モデル)である。また、海洋堆積層による速度低下分を補正するため、青木ほか(2003,地震第2輯)と同様な方法で、PS波変換波を検測してP波との到達時刻差から求まる堆積層の厚さを考慮した補正を実施した。
2013年及び2014年のOBS観測データの解析により、観測網付近で精度良く求めた震源は、M0.0~0.5を中心に分布し深さ約10kmで、2010年と同様の極微小地震が確認された。震源の数は、現在までの解析の結果であるが、2013年が36個、2014年が23個で、両者を合わせても2010年の112個(平田ほか,2013)の約半分である。観測時期が異なるものの、2010年、2013年、2014年のそれぞれの観測網内で、極微小地震は北側ほど活動度が高く南側ほど低調になっている。また、地震活動の南限をみるため、位置の精度が落ちるが観測網の外側に求まったM1~2程度の震源を確認したところ、観測網の北側と異なり、南側では震源が求まっていない。そのため、フィリピン海プレート内部のM1以上の地震活動は、2013年及び2014年に観測を実施した東経135.3度~136.3度付近において、北緯31.6~31.9度付近の海域が南限であると考えられる。
なお、観測に用いたOBSは速度型4.5Hz, 3成分で、設置及び回収は気象庁観測船(啓風丸及び凌風丸)で実施した。OBS観測データの期間、台数及び海域は以下のとおりである。
<2010年> 期間:2010/6/12~9/14(約3ヶ月間)、台数:22台、
海域:紀伊半島沖(潮岬沖)(北緯31.9~32.8度、東経135.6~136.2度の範囲内)
<2013年> 期間:2013/7/1~9/30(約3カ月間)、台数:10台、
海域:紀伊半島沖(2010年のさらに南) (北緯31.8~32.3度、東経135.8~136.3度の範囲内)
<2014年> 期間:2014/8/7~10/30 (約3ヶ月間)、台数:10台、
海域:紀伊半島沖(2013年の西側) (北緯31.6~32.3度、東経135.3~135.8度の範囲内)