18:15 〜 19:30
[MIS34-P06] 浮遊性有孔虫群集に基づく本州南方黒潮流域における最終間氷期とMIS 6の古環境変動
最終氷期から完新世の日本近海での黒潮の流路や黒潮流域における古海洋変動の研究が行われてきた(尾田・嶽本,1992,Ujiie and Ujiie,1999,大道, 2004MS, Ikehara et al., 2009など).最終氷期以前に関しては,沖縄トラフ北部において浮遊性有孔虫群集解析に基づいて表層・中層水の変動が復元されている(氏家・氏家,2006).しかし,本州南方の黒潮流域では最終氷期以前の古海洋変動はあまり研究例がない.よって,本州南方黒潮流域から採取された2本のコア(四国沖;MD01-2422(32?08.7'N, 133?51.8'E, 水深2737m),熊野沖;KR09-15 PC1(33?17.7348N, 136?38.3966E, 水深1951m))を用いて,酸素同位体ステージ(MIS)6の氷期から最終間氷期(MIS 5e)における古環境変動を復元することを目的とする研究を行った.
MD01-2422の年代モデルは,Globigerinoides ruberの酸素同位体比曲線に基づいて構築された(池原ほか, 2006).KR09-15 PC1の年代モデルは,Globorotalia inflataの14C年代と酸素同位体比曲線に基づいて構築した.63μmのふるいを用いて水洗いして得た粗粒堆積物から,浮遊性有孔虫の拾い出しを行った.簡易分割器を用いて,1試料につき200個体以上が含まれる量まで分割し,実体顕微鏡下でその分割試料内の125μm以上の浮遊性有孔虫個体を全て拾い出して分類した.
MD01-2422では浮遊性有孔虫36種(優勢種11種)を同定した.一方,KR09-15 PC1では,浮遊性有孔虫26種(優勢種10種)を同定した.これらの結果とKR09-15 PC1の低解像度の群集解析結果(東,2010MS)を統合した上で,四国沖と熊野沖の浮遊性有孔虫群集変化を比較した.その際,氏家・氏家(2006)とUjiie et al.(2003)で用いられた各水塊グループ主要種のうち黒潮系2種(Pulleniatina obliquiloculataとNeogloboquadrina dutertrei)の相対産出頻度に注目した.その結果,四国沖,熊野沖共にMIS 5eに黒潮系グループの増加が認められた.熊野沖ではMIS 6には黒潮系グループが減少した.このことより,次の3点が推測される.①四国沖はMIS 6からMIS 5eにかけて常に黒潮の影響下にあった.②熊野沖ではMIS 5eには四国沖と同様に黒潮の影響下にあった.③しかし,MIS 6の熊野沖は黒潮の影響を受けていなかった可能性が高い.
MD01-2422の年代モデルは,Globigerinoides ruberの酸素同位体比曲線に基づいて構築された(池原ほか, 2006).KR09-15 PC1の年代モデルは,Globorotalia inflataの14C年代と酸素同位体比曲線に基づいて構築した.63μmのふるいを用いて水洗いして得た粗粒堆積物から,浮遊性有孔虫の拾い出しを行った.簡易分割器を用いて,1試料につき200個体以上が含まれる量まで分割し,実体顕微鏡下でその分割試料内の125μm以上の浮遊性有孔虫個体を全て拾い出して分類した.
MD01-2422では浮遊性有孔虫36種(優勢種11種)を同定した.一方,KR09-15 PC1では,浮遊性有孔虫26種(優勢種10種)を同定した.これらの結果とKR09-15 PC1の低解像度の群集解析結果(東,2010MS)を統合した上で,四国沖と熊野沖の浮遊性有孔虫群集変化を比較した.その際,氏家・氏家(2006)とUjiie et al.(2003)で用いられた各水塊グループ主要種のうち黒潮系2種(Pulleniatina obliquiloculataとNeogloboquadrina dutertrei)の相対産出頻度に注目した.その結果,四国沖,熊野沖共にMIS 5eに黒潮系グループの増加が認められた.熊野沖ではMIS 6には黒潮系グループが減少した.このことより,次の3点が推測される.①四国沖はMIS 6からMIS 5eにかけて常に黒潮の影響下にあった.②熊野沖ではMIS 5eには四国沖と同様に黒潮の影響下にあった.③しかし,MIS 6の熊野沖は黒潮の影響を受けていなかった可能性が高い.