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[SSS24-01] 揺れからの揺れの即時予測:揺れの数値予報の様々な周期への応用
キーワード:緊急地震速報, 地震動即時予測, 揺れの数値予測, 長周期地震動
現在,気象庁の緊急地震速報のシステムをはじめ,世界中で運用/研究されている地震動即時予測手法の多くは,即時的に震源とマグニチュード(M)を推定する考えに基づいている.しかし,2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0,東北地震)では,広い震源域への対応が不十分で関東地方の震度を過小予測し,また,同時に発生した複数の余震を適切に分離できず,大きな1つの地震と解釈し,過大な警報を出してしまうなど,震源とMの即時推定による方法の弱点が明らかになった.これらの課題に対処するため,新しい地震動予測手法の考え方を提案している(Hoshiba and Aoki, 2015).そこでは,IIRフィルターにより地盤の増幅特性を補正したうえで,データ同化手法により波動場の実況を詳細に推定し(Real-time shake-map),その後に,波動伝播のシミュレーション(今回は,輻射伝達理論を用いた)により未来の波動場を時間発展的に予測する.この方法では,必ずしも震源とMを求める必要はなく,詳細に推定した波動場の初期値から波動伝播の方程式に従って未来を予測する.これは,気象の分野における「数値予報」の考え方に似ているので,いわば,「揺れの数値予報」と言える.
この「揺れの数値予報」の方法を,東北地震や2004年新潟県中越地震に適用した.震度の周波数帯(つまり,1Hz(周期1秒)周辺)ばかりでなく,0.3 Hz (3 秒) や0.15 Hz (6 秒)といったやや長周期の揺れに対しても適用する.長周期に適用するに当たり,2つの懸念(①地盤増幅特性の補正に用いているIIRフィルターでは位相特性が適切に再現できないおそれ,②輻射伝達理論は波線理論的な考えに基づいているので長周期波動を適切に計算できないおそれ)があるが,適用可能性の可否を調べる意味もあり試みる.東北地震の場合,関東盆地を比較的短周期の波は通り過ぎていくが,比較的長周期の波はしばらく継続する現象がみられること,また,近い未来の予測ならば,(今回解析した0.15Hz程度までならば)十分実用的な予測ができそうなこと,を示す.
この「揺れの数値予報」の方法を,東北地震や2004年新潟県中越地震に適用した.震度の周波数帯(つまり,1Hz(周期1秒)周辺)ばかりでなく,0.3 Hz (3 秒) や0.15 Hz (6 秒)といったやや長周期の揺れに対しても適用する.長周期に適用するに当たり,2つの懸念(①地盤増幅特性の補正に用いているIIRフィルターでは位相特性が適切に再現できないおそれ,②輻射伝達理論は波線理論的な考えに基づいているので長周期波動を適切に計算できないおそれ)があるが,適用可能性の可否を調べる意味もあり試みる.東北地震の場合,関東盆地を比較的短周期の波は通り過ぎていくが,比較的長周期の波はしばらく継続する現象がみられること,また,近い未来の予測ならば,(今回解析した0.15Hz程度までならば)十分実用的な予測ができそうなこと,を示す.