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[HQR23-08] 湖底堆積物中の珪藻群集組成に見られる日本の山岳湖沼の富栄養化トレンド
キーワード:富栄養化, 日本の山岳湖沼, 珪藻群集組成, 近過去
近年の東アジア地域の発展により、化石燃料燃焼を原因とする大気汚染が進行している。我が国でも、越境大気汚染による健康被害や環境・生態系の悪化が懸念されているが、山岳湖沼生態系に対する影響に関する研究はごく少数である。我々の研究グループでは、山岳湖沼生態系に対する越境大気汚染の長期的影響を調べるため、湖沼堆積物の生態系変動の解析を行ってきた。これまでの研究結果から、日本各地の山岳湖沼で1980年代に東アジア地域の石炭燃焼やその起源物質が増加すると伴に、プランクトン群集が変化したことが明らかになったが、その群集変化の原因は不明瞭である。
本研究では、従来過去の水質復元で用いられてきた堆積物中の珪藻群集組成から、山岳湖沼である北海道のニセコ大沼と羅臼湖、富山県のミクリガ池の水質環境の変化を推定した。珪藻群集組成の変化より、ニセコ大沼では1980年代に変化が認められ、水質が弱酸性且つ貧栄養な環境から、中性で中栄養な環境に変わったことが示唆された。ミクリガ池では1990年以降に貧栄養種が減少し、中栄養種が増加傾向にあった。羅臼湖では、1980年以降、珪藻群集に小さな変化が見られた。
これまで、大気降下物による山岳湖沼生態系への影響について植物プランクトン・動物プランクトンの増加が指摘されてきたが、それは湖水の栄養塩濃度の増加によることが明らかとなった。大気経由の栄養塩供給が湖の富栄養化を進行させ、山岳湖沼生態系に影響を与えている可能性が示唆された。
本研究では、従来過去の水質復元で用いられてきた堆積物中の珪藻群集組成から、山岳湖沼である北海道のニセコ大沼と羅臼湖、富山県のミクリガ池の水質環境の変化を推定した。珪藻群集組成の変化より、ニセコ大沼では1980年代に変化が認められ、水質が弱酸性且つ貧栄養な環境から、中性で中栄養な環境に変わったことが示唆された。ミクリガ池では1990年以降に貧栄養種が減少し、中栄養種が増加傾向にあった。羅臼湖では、1980年以降、珪藻群集に小さな変化が見られた。
これまで、大気降下物による山岳湖沼生態系への影響について植物プランクトン・動物プランクトンの増加が指摘されてきたが、それは湖水の栄養塩濃度の増加によることが明らかとなった。大気経由の栄養塩供給が湖の富栄養化を進行させ、山岳湖沼生態系に影響を与えている可能性が示唆された。