日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG31] 宇宙科学・探査の将来計画と関連する機器・技術の現状と展望

2015年5月27日(水) 15:15 〜 16:00 202 (2F)

コンビーナ:*平原 聖文(名古屋大学太陽地球環境研究所)、小嶋 浩嗣(京都大学生存圏研究所)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、鈴木 睦(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部)、座長:平原 聖文(名古屋大学太陽地球環境研究所)、小嶋 浩嗣(京都大学生存圏研究所)

15:45 〜 16:00

[PCG31-03] 無衝突衝撃波探査衛星のサイエンス

*天野 孝伸1星野 真弘1斎藤 義文2藤本 正樹2 (1.東京大学、2.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部)

キーワード:無衝突プラズマ, 衝撃波, 波動粒子相互作用, 粒子加速

希薄な宇宙空間プラズマは系の典型的な空間スケールに対して粒子間衝突の平均自由行程が十分に長い無衝突プラズマになっている。無衝突プラズマの大きな特徴として、プラズマ波動を介した効率の良いエネルギー・運動量輸送によって系の動力学が支配されている点が挙げられる。またそのようなプラズマ波動はしばしば大振幅となり、非線形性が非常に強く効いている可能性が示唆されている。加えて、一部の粒子のみが選択的に加速され非熱的成分を形成することも無衝突系ならではの特徴である。

無衝突プラズマ中に形成する磁気流体力学的な衝撃波は無衝突衝撃波と呼ばれ、上記のような無衝突プラズマの特徴の全てが如実に現れる興味深い系である。冷たいプラズマが急激に散逸し、加熱される衝撃波遷移層においては、様々なプラズマ不安定性が同時多発的に励起され、その極度な非線形性や非一様性のためにその理解は困難を極める。観測的には古くから衝撃波のその場観測によってイオンスケールの衝撃波の基本構造はおおまかに理解されてきた。一方で高時間分解能の波動観測から、磁気流体スケールやイオンスケールに埋め込まれた微細構造や、非線形波動-粒子相互作用の衝撃波散逸機構における重要性が示唆されている。しかしながら、分布関数計測の時間分解能不足から確定的な議論には至っていないのが現状である。初期の衝撃波観測の時代から数値シミュレーションは極めて重要な役割を果たしてきたが、現在の計算機能力を持ってしてもパラメータや次元性の制限から観測されるような多スケールの衝撃波構造や非線形波動の再現には至っていない。また非熱的粒子の加速、特に熱的粒子から超熱的粒子への初期加速の観点からも衝撃波遷移層における非線形プラズマ波動を介した散逸過程の理解は極めて重要である。

本講演では現在の技術で到達可能な時間分解能(1-10 msec)による衝撃波遷移層の分布関数計測がもたらす科学的意義について、これまでの観測・数値シミュレーション・理論と照らしあわせながら議論する。