12:35 〜 12:38
[SVC46-P14] 手石海丘における北西-南東方向に伸びるグラーベン構造と火口列
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:東伊豆単成火山群, 海底地形, マルチビーム音響測深機, グラーベン, 火口列, ダイク
手石海丘は伊豆半島東方沖に位置する海底火山であり、伊豆東部火山群に分類されている。海上保安庁海洋情報部では海域火山の監視及び観測・調査を行っており、2014年12月に測量船及び自律型潜水調査機器(AUV)を用いて手石海丘の詳細な地形調査を実施した。手石海丘の地形については1989年の噴火直後に海上保安庁によって精力的な調査が行われたが(例えばOshima et al., 1991)、現在に比べて分解能の劣る測深機で調査されているため、大まかな地形については分かっているが、詳細な地形については分かっていない。今回の調査の結果、手石海丘には北西‐南東方向に伸びるグラーベンが形成されていることが明らかになった。また手石海丘の火口の内部には、グラーベンと同じく北西‐南東方向に配列した4つの小火口が確認された。このようなグラーベンや小火口といった海底表面に現れた地形は海底下のマグマの挙動を推定する手がかりとなる。
1.調査手法
調査は2014年12月に海上保安庁の測量船「海洋」(総トン数550トン)に搭載したマルチビーム音響測深機はEM302(Kongsberg社製)及びAUV「ごんどうS」に搭載したインターフェロメトリ音響測深機GeoSwath Plusを用いて実施した。
2.調査結果
グラーベンは手石海丘の南東に形成されており、北西‐南東方向に伸びている。グラーベンの長さは120m、幅は70m、深さ1.5mである。小火口は1989年の噴火(水蒸気爆発)に伴って生じた直径180mの中央火口の内部に形成されている。小火口は北西‐南東方向に列をなして形成されており、各小火口の直径は20~50m程度であった。またグラーベンと小火口列の間には北西‐南東方向に伸びる線状の盛り上がった地形も形成されていた。
3.調査結果の解釈
手石海丘の1989年の噴火については、海底の堆積層へマグマが貫入したことで発生したと考えられている(Yamamoto et al 1991)。また海底の堆積層へのマグマの供給について北西-南東方向(N125°E)の開口断層が関与したことが指摘されている(Okada and Yamamoto 1991)。手石海丘についてではないが、海底下へのマグマの貫入(ダイク)と海底表面におけるグラーベンの形成との関係について研究されており、貫入したマグマの頂部の深度は、およそグラーベンの幅の約半分になると考えられている(Mastin and Pollard 1988; Chadwick and Embley 1998)。これらの研究結果をもとに今回の調査結果を解釈すると、手石海丘のグラーベンの幅は70 mであったことから、その半分である海底下35m程度までマグマの貫入があったと推定される。このグラーベンが1989年のマグマの貫入に伴って形成されたことを示す直接的な証拠は無い。しかし複数の間接的な証拠から、例えば1989年の噴火によって形成されたと考えられる手石海丘内の4つの小火口が、グラーベンと同じ線状に、同じ幅で、かつ同じ北西-南東方向に配列していることから、小火口の形成と同じ環境、つまり、1989年のマグマの貫入に伴って形成されたと考えられる。
1.調査手法
調査は2014年12月に海上保安庁の測量船「海洋」(総トン数550トン)に搭載したマルチビーム音響測深機はEM302(Kongsberg社製)及びAUV「ごんどうS」に搭載したインターフェロメトリ音響測深機GeoSwath Plusを用いて実施した。
2.調査結果
グラーベンは手石海丘の南東に形成されており、北西‐南東方向に伸びている。グラーベンの長さは120m、幅は70m、深さ1.5mである。小火口は1989年の噴火(水蒸気爆発)に伴って生じた直径180mの中央火口の内部に形成されている。小火口は北西‐南東方向に列をなして形成されており、各小火口の直径は20~50m程度であった。またグラーベンと小火口列の間には北西‐南東方向に伸びる線状の盛り上がった地形も形成されていた。
3.調査結果の解釈
手石海丘の1989年の噴火については、海底の堆積層へマグマが貫入したことで発生したと考えられている(Yamamoto et al 1991)。また海底の堆積層へのマグマの供給について北西-南東方向(N125°E)の開口断層が関与したことが指摘されている(Okada and Yamamoto 1991)。手石海丘についてではないが、海底下へのマグマの貫入(ダイク)と海底表面におけるグラーベンの形成との関係について研究されており、貫入したマグマの頂部の深度は、およそグラーベンの幅の約半分になると考えられている(Mastin and Pollard 1988; Chadwick and Embley 1998)。これらの研究結果をもとに今回の調査結果を解釈すると、手石海丘のグラーベンの幅は70 mであったことから、その半分である海底下35m程度までマグマの貫入があったと推定される。このグラーベンが1989年のマグマの貫入に伴って形成されたことを示す直接的な証拠は無い。しかし複数の間接的な証拠から、例えば1989年の噴火によって形成されたと考えられる手石海丘内の4つの小火口が、グラーベンと同じ線状に、同じ幅で、かつ同じ北西-南東方向に配列していることから、小火口の形成と同じ環境、つまり、1989年のマグマの貫入に伴って形成されたと考えられる。