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[MIS25-02] 貝類群集解析に基づく石垣島を襲った後期完新世の大津波の規模の評価
キーワード:大津波, 石垣島, 後期完新世, 貝類群集解析
西暦1771年4月24日午前8:00頃(発生時の潮位は平均海面),石垣島に明和大津波が襲来した.その遡上高は約30 mに達し,大量の津波石を運搬した.石垣島には,この津波以前の大津波による津波石が分布し,それらの14C年代から,約2000年前に大津波が発生したと推定されている.最近,Ando et al. (submitted)は,石垣島北部の太平洋岸の丘陵斜面から3層の砂質津波堆積物を発見し,14C年代から最上位の津波堆積物は明和大津波に,中位と最下位の津波堆積物をそれぞれ約500 年前の津波(以下では500年前津波),先島津波によると推定した.これらの堆積物の末端高度は,下位から順に8,6,9 mである.丘陵斜面の砂質津波堆積物の分布域は,浸水域の90%に達するので,その末端高度から津波の規模を推定できる.しかし,珊瑚礁や浜堤は津波に対する減衰効果を持つので,500年前津波と先島津波の規模の評価には,当時の沿岸・海岸地形の推定が必要である.そこで,本研究では,これらの津波堆積物中の貝化石と現在の海岸に打ち上がった貝類遺骸群を比較し,津波発生時の沿岸・海岸地形を検討した.その結果,500年前津波の規模は明和大津波よりも小さく,先島津波の規模は500年前津波よりも大きく,明和大津波に匹敵するか若干小さかったものと推定される.