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[SCG59-01] 複数のアスペリティをもつゲル同士のすべり素過程
キーワード:アスペリティ, 素過程, ゲル, 高速破壊, ゆっくりすべり, ランダムネス
複数のアスペリティをもつ弾性体同士を互いに接触させてせん断を加えたとき,どのようにすべりを起こすのか,という問題は,地震発生の素過程を理解するためには極めて重要かつ本質的な問題である.特に,「そもそもアスペリティとは何か?」「複数のアスペリティはいかに連動するか?」「アスペリティが階層的に配置されているとき,小アスペリティから大アスペリティにどのように破壊が継承されるか?」といった,2011年以降度々議論されている問題は,上記の疑問と密接に関連している.しかしながら,それに着目した研究は非常に少なく,実験研究に関しては皆無に近いのが現状である.そこで今回は,研究の第一歩として,やわらかい弾性体であるゲル材料の表面に複数の凹凸(アスペリティ)を作り,それらを互いにすべらせる実験を行なった.試料は,予め表面加に機械加工をしておいたプラスチック製の型にシリコーンゲル(CY-52-276, 東レダウコーニング,A液:B液=1:4,せん断弾性率G = 100 kPa程度)を流し込み,90℃で5時間加熱して硬化させた.ゲルの高さおよびすべり方向の長さは100mm,奥行き方向(厚み)は20mmである.次に,作成したゲルを固定するため,摩擦面の反対側の面を土台となるガラス板に接触させ,上述のゲルを接触面に流し込み,再び加熱・硬化させて接着した.できたガラス板付きのゲルは,その後ジグに固定し,(垂直荷重ではなく)垂直変位を一定に保ったまま,一定速度V( = 1μm/s - 1mm/s)ですべり面に沿って変位させ,すべり挙動をビデオカメラで観察した.その結果,すべりイベントは凹凸の配置および密度に強く依存し,高速にすべりが伝播する様子やゆっくりすべりなどが観察された.詳細は当日報告する.