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[PEM27-P23] 南極昭和基地レイリー/ラマンライダーにより観測された中層大気の大気重力波の新しい解析方法
キーワード:成層圏, 中間圏, 中層大気, 大気重力波, 南極域, ライダー
下層大気で発生した重力波は上方伝播し、中層大気へ運動量をもたらす。その効果は、中層大気の水平平均風を変化させ、大規模子午線循環を引き起こし、中層大気の鉛直気温プロファイルを大きく変化させることが理論的に理解されている [Lindzen, 1981; Holton, 1982; Matsuno, 1982]。しかし、重力波の水平平均風への寄与の定量的理解は現在でも不十分である。中でも極夜ジェットなどの対流によって発生する重力波は、どの程度寄与しているか未知な部分が多い。そこで、我々は南極昭和基地にレイリー/ラマンライダーを設置し、2011年2月から高度約8~70 kmの気温データを取得し、重力波による気温擾乱を観測している。2014年10月終わりまでに850晩以上観測を行った。
我々は、Duck et al. (2001)及びAlexander et al. (2011)の解析方法を参考に解析を行っている。しかし、彼らの解析方法は大気気温から背景場の気温を引いた値(T′)を重力波による気温擾乱の振幅としているため、位相の時間変化を考慮しておらず、波のエネルギー(Ep)を過小評価してしまう可能性があった。そこで、我々はT′を大気密度の平方根で重みづけしヒルベルト変換することによってT′の位相を90°遅らせた値(Th′)を求め、((T′)2+(Th′)2)1/2を計算することで純粋な振幅を取り出す方法を独自に考案した。本講演では我々の解析方法を詳しく述べる。
我々は、Duck et al. (2001)及びAlexander et al. (2011)の解析方法を参考に解析を行っている。しかし、彼らの解析方法は大気気温から背景場の気温を引いた値(T′)を重力波による気温擾乱の振幅としているため、位相の時間変化を考慮しておらず、波のエネルギー(Ep)を過小評価してしまう可能性があった。そこで、我々はT′を大気密度の平方根で重みづけしヒルベルト変換することによってT′の位相を90°遅らせた値(Th′)を求め、((T′)2+(Th′)2)1/2を計算することで純粋な振幅を取り出す方法を独自に考案した。本講演では我々の解析方法を詳しく述べる。