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[ACC28-07] 運動モデルを用いた岩手山西斜面の雪崩の再現
キーワード:岩手山, 雪崩, 亜高山帯林, 運動モデル
2010-11年冬期に岩手山西斜面で大規模な雪崩が発生し,2箇所合わせて約7 haに及ぶ亜高山帯林が倒壊した.この雪崩は,実際の発生区の位置が不明であるが,現地調査の結果から,森林に流入する前に高速になっていた可能性が高く,標高約1730 mの森林限界より高所で発生した乾雪表層雪崩と考えている(竹内ら,2014).本研究では,発生区の位置や雪崩の流下に及ぼした森林の影響を明らかにすることを目的として,雪崩の流下を運動モデルTITAN2Dで再現した.まず雪崩の流下経路や到達点を再現するように,発生区の位置を検討した.その結果,標高1950 m 付近の幅300 m程度の範囲を発生区とすると,途中で2方向へ分かれて実際の雪崩と同様の2つの経路を流下した.竹内ら(2014)は2箇所の雪崩跡は発生区が異なる2件の雪崩と考えていたが,モデルの計算結果では同一の発生区から流下した1つの雪崩であった可能性が示唆された.次に,モデルにおいて雪崩の底面摩擦角μを変えて流下距離を比較した結果,森林限界より高所ではμ1= 12~14°,森林内ではμ2= 26~25°とすると実際の雪崩の流下距離をよく再現できることがわかった.森林がない場合を想定して,底面摩擦角を14°で一定にすると,雪崩が減速せずに実際より遙か遠くまで流下したことから,森林は雪崩を停止させる大きな効果があったといえる.