18:15 〜 19:30
[MIS33-P09] 岩手県広田湾で採取した柱状試料中の珪藻群集からみた湾内環境の特徴
キーワード:珪藻, 津波, 堆積物
岩手県南東部に位置する広田湾は陸前高田市沖に広がり、面積約37.1?、最大水深56m、湾口幅は約4.8?であり、北西からは気仙川が流入する.2011年3月の東日本大震災では津波により大きな被害がもたらされ、湾内には津波堆積物が堆積している(坂本ほか,2004).3.11の津波堆積物の特徴を明らかにする事は、過去の津波履歴を評価する上で重要である.今回は珪藻分析の結果について報告する.
13HV3コアは2013年9月21日、広田湾湾奥40°37′19.44256″N,139°31′28.26438″Eの水深10.8mの地点で金政丸によりバイブルコアリングにて採取された.本コアの長さは142㎝で深度142~68cmまでは全体的にシルト~極細粒砂で、深度123~110cmには貝片が多産する中粒砂の層が認められる.深度68~12cmまでは極粗粒砂~中粒砂が下位の泥層を削剥して堆積し、上方細粒化が3回認められる.深度12~0cmはシルトからなる.
鑑定用プレパラートの作成は嵯峨山ほか(2010)の方法を用いた.遺骸は1000倍の生物用顕微鏡で1試料につき200個を鑑定し、海生種、海~汽水生種、汽水生種、汽~淡水生種、淡水生種、絶滅種、不明種に区分した.
分析用試料は、深度100cmから最上部の0~1cmまでの計11個である.深度70~71cmより上部では汽~淡水生種がほぼ60~70%産出するのに対して、深度75cmより下部では汽~海生種が70%以上産出する.
深度75cmより下部のシルト~極細粒砂の海水的環境を示す堆積物は、広田湾の通常堆積物であると推定される.淡水生種が多産する深度68cmより上部の砂質堆積物は、坂本ほか(2014)により2011年の津波起源堆積物と推定している.
また、気仙川前面に位置する13HV8コアは既に嵯峨山(2014)によって珪藻分析の結果が報告されている.13HV8コアの通常堆積物は汽水的環境を示しており、湾奥部に位置する13HV3コアの海水的環境とは異なっており、気仙川から流入する淡水の影響の大きさの違いを示していると考えられる.
今後は深度100cmより下位の試料を採取し、過去のイベント堆積物の有無を検討する事、また他の採泥試料についても同様に分析していく事が必要であると考える.
13HV3コアは2013年9月21日、広田湾湾奥40°37′19.44256″N,139°31′28.26438″Eの水深10.8mの地点で金政丸によりバイブルコアリングにて採取された.本コアの長さは142㎝で深度142~68cmまでは全体的にシルト~極細粒砂で、深度123~110cmには貝片が多産する中粒砂の層が認められる.深度68~12cmまでは極粗粒砂~中粒砂が下位の泥層を削剥して堆積し、上方細粒化が3回認められる.深度12~0cmはシルトからなる.
鑑定用プレパラートの作成は嵯峨山ほか(2010)の方法を用いた.遺骸は1000倍の生物用顕微鏡で1試料につき200個を鑑定し、海生種、海~汽水生種、汽水生種、汽~淡水生種、淡水生種、絶滅種、不明種に区分した.
分析用試料は、深度100cmから最上部の0~1cmまでの計11個である.深度70~71cmより上部では汽~淡水生種がほぼ60~70%産出するのに対して、深度75cmより下部では汽~海生種が70%以上産出する.
深度75cmより下部のシルト~極細粒砂の海水的環境を示す堆積物は、広田湾の通常堆積物であると推定される.淡水生種が多産する深度68cmより上部の砂質堆積物は、坂本ほか(2014)により2011年の津波起源堆積物と推定している.
また、気仙川前面に位置する13HV8コアは既に嵯峨山(2014)によって珪藻分析の結果が報告されている.13HV8コアの通常堆積物は汽水的環境を示しており、湾奥部に位置する13HV3コアの海水的環境とは異なっており、気仙川から流入する淡水の影響の大きさの違いを示していると考えられる.
今後は深度100cmより下位の試料を採取し、過去のイベント堆積物の有無を検討する事、また他の採泥試料についても同様に分析していく事が必要であると考える.