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[SSS28-02] 千葉県館山市の海浜堆積物から推定した元禄地震の前の関東地震
キーワード:関東地震, 地震隆起, 津波堆積物, 古地震
元禄関東地震の前の関東地震が何時起きたかを調べるため,館山湾岸の沖積低地でボーリング調査を行った.この地域は元禄・大正の関東地震で1~2m隆起したとされる.元禄地震時の隆起で離水した低地は,元禄段丘(沼Ⅳ面)としてよく知られている.沼Ⅳ面の陸側を限る浜堤は,古絵図の情報から元禄地震が起きたときの海岸砂丘にあたるとされる.この浜堤は,元禄地震の前に起きた関東地震による海岸の隆起で離水した可能性が高い.この浜堤の上で2本のボーリングコアを掘削し,離水時期を推定した.ボーリングはほぼ同じ地点(標高5.4m)で2本(深度5.0mおよび6.0m)掘削した.
ボーリングコアの層相は大きく分けて,貝化石を含む極細粒砂層からなる下部と,砂層および礫層の互層からなる上部に分かれる.下部は内湾堆積物,上部は浜堤の構成層である.上部の砂層・礫層の基底高度は標高約1.2mである.下部と上部の境界が離水イベントを示している.下部と上部の間には,貝化石や粘土礫を含む砂礫層と粘土層の互層(層厚約1.4m)が挟まる.これは砂礫層を堆積させる強い流れと,粘土層が沈殿する流れの停滞期が繰り返すことで形成されたもので,津波堆積物の可能性がある.
貝化石と植物片を用いた14C年代測定によると,この”津波堆積物”からは9世紀から14世紀にわたる複数の年代値が得られ,最も若い値は1215-1360ADである.浜堤構成層の下部からは1210-1357ADの値が得られた.浜堤の離水時期は13世紀から14世紀前半と推定される.これは宍倉(2003)が調査地北方の岩井低地の浜堤地形から推定した隆起時期や,Shimazaki et al. (2011)が三浦半島で検出した隆起イベントと津波堆積物から推定した関東地震の時期(1293年)と対応する.
ボーリングコアの層相は大きく分けて,貝化石を含む極細粒砂層からなる下部と,砂層および礫層の互層からなる上部に分かれる.下部は内湾堆積物,上部は浜堤の構成層である.上部の砂層・礫層の基底高度は標高約1.2mである.下部と上部の境界が離水イベントを示している.下部と上部の間には,貝化石や粘土礫を含む砂礫層と粘土層の互層(層厚約1.4m)が挟まる.これは砂礫層を堆積させる強い流れと,粘土層が沈殿する流れの停滞期が繰り返すことで形成されたもので,津波堆積物の可能性がある.
貝化石と植物片を用いた14C年代測定によると,この”津波堆積物”からは9世紀から14世紀にわたる複数の年代値が得られ,最も若い値は1215-1360ADである.浜堤構成層の下部からは1210-1357ADの値が得られた.浜堤の離水時期は13世紀から14世紀前半と推定される.これは宍倉(2003)が調査地北方の岩井低地の浜堤地形から推定した隆起時期や,Shimazaki et al. (2011)が三浦半島で検出した隆起イベントと津波堆積物から推定した関東地震の時期(1293年)と対応する.