日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG35] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2015年5月27日(水) 14:15 〜 15:00 105 (1F)

コンビーナ:*山口 直文(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)、高柳 栄子(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、池田 昌之(静岡大学)、座長:池田 昌之(静岡大学)

14:15 〜 14:30

[HCG35-13] ネパール・カリガンダキ川中流域における段丘面の分布と堆積過程

*吉田 崇博1菅沼 悠介2酒井 哲也3 (1.総合研究大学院大学 複合科学研究科、2.国立極地研究所、3.島根大学 総合理工学研究科)

キーワード:ヒマラヤ, カリガンダキ, 河成段丘

チベット高原からヒマラヤを縦断しインド平原へと流れる河川であるカリガンダキ川の中流域には,現河床との比高が300mを超す大規模な河成段丘が存在する.ヒマラヤを流れる河川の段丘の発達には大規模斜面崩壊や氷河湖決壊洪水といった破局的イベントが強く影響しているといった報告があり(Takada,1992. Schwanghart et al,2014),カリガンダキ川中流域の段丘についても氷河湖決壊洪水堆積物であるとの主張もされている(Yoshida & Upreti, 2014).しかし,カリガンダキ中流域の段丘面に関する先行研究であるSharma (1980)やYamanaka(1982)は段丘の地形分類を中心としている.そのため,段丘構成物の堆積学的な記載が不十分であり,その堆積過程も検討されていない.また,段丘面の区分・対比は主に航空写真判読に基づいているため,標高精度が低く検討の余地がある.そこで,本研究では,カリガンダキ川中流域の段丘面の堆積過程とその起源を解明する一歩としてカリガンダキ川の中流域(ベニ?ファレバス)の段丘面の再分類と,段丘構成層の堆積学的記載をおこなった.その結果として,以下の3点が明らかになった.
1)野外でのGPS測定とGISによる地形断面作成から従来の段丘面区分を改訂し,その高度から同時間面と考えられる段丘面の対比をおこなった.
2)単一の礫層と記載されてきた段丘構成層の層相が少なくとも6つに細区分でき,その中には通常時の河川流堆積物とは異なる土石流,泥流のようなイベント性の高密度流堆積物が含まれることを明らかにした.
3)カリガンダキ川本流と支流との合流点では構成層の側方変化が認められることから,本流の堆積量の急激な増加が示唆される.
以上より,本研究地域の段丘面の構成物は急激に堆積した高密度流堆積物を含みその堆積過程には氷河湖決壊洪水が関与した可能性が高い.今後は,この高密度流堆積物に注目してその詳細な堆積過程,起源,および堆積年代を検討していく.