[A-HW26] 水循環・水環境

[AHW26-P01] 花崗岩からなる山地流域における地表水―地下水循環系のモデル化

*渡邊 泰人¹、辻村 真貴²、池田 浩一¹、矢野 伸二郎³、安部 豊³、松本 雄大³ (1.筑波大学大学院生命環境科学研究科、2.筑波大学生命環境系、3.サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社水科学研究所)

キーワード：地下水, シミュレーション, GETFLOWS, 滞留時間, 涵養標高

山地流域は水資源の涵養域として大きな役割を果たしており，山地流域の地下水流動を把握する研究が行われてきた．しかし，地形勾配が急な花崗岩山地流域における研究は多くは行われておらず，特に数値シミュレーションを用いて地下水流動を把握した研究は少ないのが現状である．そこで本研究では，数値シミュレーションにより地形勾配が急な花崗岩山地における地下水流動を再現することを目的とした．
本研究は，花崗岩からなる山地流域の一つである，山梨県神宮川の源流域を対象とした．この流域は，最大比高が約1400 mであり，非常に急勾配な流域である．数値シミュレーションは，三次元の地表水―地下水流動を解析できるGETFLOWSを用いて行った．同地域では，これまでにフロン類等のトレーサーを用いた研究により，地下水の滞留時間や涵養標高が推定されており，それらの再現を試みた．
透水係数に相当する絶対浸透率を変化させ，地下水流動系の再現を試みた．その結果，地下水位や地下水の流線などの地下水流動系は絶対浸透率によって大きく変化することが示された．また，流域北部の湧水においては，フロン類トレーサーにより，一部の湧水の滞留時間は他の湧水の滞留時間より長いことが示されているが，数値シミュレーションによる滞留時間も同様の傾向を示した．また，涵養標高に関しても，一部の湧水を除き，妥当な値を示した．