12:21 〜 12:24
[HDS25-P09] 根尾谷断層北端部に集中する山体重力変形地形の発達史
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:山体重力変形地形, 活断層, 美濃山地, AMS-14C年代, 火山灰分析
深層崩壊の前兆地形の一つとして,山体重力変形地形が注目されている.これらの微地形の形成と地震・活断層との関連性について言及した研究は少なくないが,掘削調査に基づいて山体が変形を起こした年代を詳細かつ実証的に明らかにし,古地震履歴と比較した研究はほとんど行われていない.
近年の高精度航空レーザー測量によって,美濃山地北西部に重力変形に伴う凹地や山向き低崖が多数分布していることが明らかとなった.これらの微地形は植生下に位置していることから,凹地を埋める泥炭質堆積物から採取した植物片のAMS-14C 年代を用いることにより,従来の高緯度・高標高地域の研究と比べて高精度・高確度な凹地の形成・成長年代決定が可能であると考えられる.本研究では,山体重力変形地形がとくに集中する根尾谷断層北端部において,多数存在する凹地の内の5ヶ所でハンドオーガーボーリング(深度約1.5-3.4 m)とピット掘削(深度約1.5 m)を実施し,各凹地の形成・成長年代と断層活動との関係性について検討した.
凹地を埋める堆積物から採取した葉片,種子,小枝等のAMS-14C 年代,および火山灰分析結果から,調査した全ての凹地は後氷期以降に形成されたことが明らかとなった.しかし,形成年代は凹地によって異なり,最も古いものは約11000年前,最も新しいものは約2000年前に形成されたと推定される.さらに,ピット掘削の結果,少なくとも一部の凹地を埋める堆積物は堆積後,複数回の変形を受けていることも明らかとなった.ひとつの凹地では3600年前以降の堆積物が少なくとも2回の変形を受けており,うち最新の変形イベントは根尾谷断層が活動した1891年濃尾地震時に対応する可能性がある.今後さらに調査を行ってゆくことが必要であるが,重力性低崖が完新世に複数回の変形を繰り返したことは,これまで他の研究によって明らかにされている根尾谷断層の活動間隔(約2000-5000年)と矛盾せず,山体重力変形地形の形成及び成長が断層運動と同時に起きている可能性を示唆する.
近年の高精度航空レーザー測量によって,美濃山地北西部に重力変形に伴う凹地や山向き低崖が多数分布していることが明らかとなった.これらの微地形は植生下に位置していることから,凹地を埋める泥炭質堆積物から採取した植物片のAMS-14C 年代を用いることにより,従来の高緯度・高標高地域の研究と比べて高精度・高確度な凹地の形成・成長年代決定が可能であると考えられる.本研究では,山体重力変形地形がとくに集中する根尾谷断層北端部において,多数存在する凹地の内の5ヶ所でハンドオーガーボーリング(深度約1.5-3.4 m)とピット掘削(深度約1.5 m)を実施し,各凹地の形成・成長年代と断層活動との関係性について検討した.
凹地を埋める堆積物から採取した葉片,種子,小枝等のAMS-14C 年代,および火山灰分析結果から,調査した全ての凹地は後氷期以降に形成されたことが明らかとなった.しかし,形成年代は凹地によって異なり,最も古いものは約11000年前,最も新しいものは約2000年前に形成されたと推定される.さらに,ピット掘削の結果,少なくとも一部の凹地を埋める堆積物は堆積後,複数回の変形を受けていることも明らかとなった.ひとつの凹地では3600年前以降の堆積物が少なくとも2回の変形を受けており,うち最新の変形イベントは根尾谷断層が活動した1891年濃尾地震時に対応する可能性がある.今後さらに調査を行ってゆくことが必要であるが,重力性低崖が完新世に複数回の変形を繰り返したことは,これまで他の研究によって明らかにされている根尾谷断層の活動間隔(約2000-5000年)と矛盾せず,山体重力変形地形の形成及び成長が断層運動と同時に起きている可能性を示唆する.