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[SCG64-43] トルコ・マルマラ海における北アナトリア断層の海底測地モニタリング
キーワード:マルマラ海, 北アナトリア断層, トルコ, 地震, 海底間音響測距, 海底測地
北アナトリア断層(NAF)は、トルコのアナトリア半島を横切る大規模な構造線で、過去100年間で地震を伴う破壊が東から西に移動してきていることが知られている。その活動は1999年のイズミット地震で長期間破壊のなかったトルコ最大の都市イスタンブールに迫っており、今後の活動が危惧されている。NAFはイスタンブール付近ではマルマラ海の中を通っており、GNSSや測量による陸上からのモニタリングを妨げている。このような状況のもと、JICAが推進する日本?トルコ間のSATREPSプロジェクトが発足し、そのプロジェクトの一部として、我々は海底測地技術を用いたマルマラ海におけるNAFのモニタリングを2014年に開始した。この観測では、短基線の相対運動の検出に適した海底間音響測距装置(extensometer)と呼ばれる機器を採用した。横ずれ断層の活動、あるいは固着時の歪の蓄積は、断層を斜めに跨ぐ基線長の変化として検出することができる。今回用いた装置は、回収機構を装備せず、バッテリが続く5年以上の間連続して観測できるよう設計されている。計測したデータは、海上からの音響通信で吸い上げることが可能で、機器を回収せずに観測を継続できる。2014年の9月に、4台の機器をマルマラ海西武のWestern Highと呼ばれる場所に設置した。Western High付近ではメイン断層からの分岐が少なく、対象としたメイン断層に活動が集中していると考えられている。機器設置直後、24時間の高頻度試験計測(5分間隔)を実施し、そのデータを音響モデムで回収した。その後長期観測用に低頻度計測(12時間間隔)に切り替え、観測を継続している。高頻度試験観測データを解析した結果、繰り返し観測精度は5mm以下であることがわかり、今後2-3年の観測を経れば、断層の固着状況について言及するに足るデータが得られると思われる。発表では、2015年3月の航海で回収する予定の、最初の長期連続データ(半年分)についても紹介する。