12:06 〜 12:09
[HGM02-P04] 河川縦断形の発達プロセス:室内実験
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:河川縦断形, モデル実験, 傾動隆起, 平衡河川
平衡河川の縦断形は指数曲線的であるという認識が存在している。フィールドでは、地形が隆起しているにも関わらず、隆起と浸食がつりあう動的平衡状態へと向かう。しかし、岩盤河川において、平衡河川に至るまでの河川縦断形発達プロセスは明らかになっていない。本研究のモデル実験は、砂とシルトを混合させた実験物質で斜面を形成し、河川を開析させた。下流には、中央にスリットの入った堰を設け、流域のベースレベル低下を防ぐ。斜面の上から、10個のノズルによってミストを降らせる。パラメーターに海岸線を軸にしている傾動の速度と初期傾斜を持つ。傾動を行わず初期傾斜の依存を観察する実験と傾動を伴う実験を行った。結果は以下の通りであった。傾動を伴わない場合では、本流の下刻は二段階で進んだ。一度目の下刻は谷頭浸食が終わった時に抑制され、二度目の下刻は支流の成長による流量増加から起こったと考えられる。同じタイミングで、本流と支流の河床勾配の差によって合流部の下刻が進み、遷急点が発生した。また、安定した縦断形の勾配は初期傾斜に因らない。傾動を伴う場合では、最初は傾動の影響を強く受けるものの、数時間で浸食と隆起がつりあう動的平衡状態に至った。また、隆起速度をある時間で変更させると、それに合わせて浸食速度も変化し、それぞれの隆起速度で動的平衡状態に近づいた。河川地形は、隆起速度に応答して安定することが示唆される。傾動が伴う試行も伴わない試行も縦断形が平衡状態に至る以前に遷急点が確認されたことから、遷急点は平衡に至るまでのプロセスである可能性がある。