18:15 〜 19:30
[PEM28-P10] プラズマシート電子内側境界の磁気嵐フェイズ依存性の統計解析
キーワード:プラズマシート内側境界, プラズマシート, 対流電場, 磁気嵐, オーロラ, サブストーム
THEMIS衛星搭載の粒子計測器ESA(ElectroStatic Analyzer)の観測データを用いて、磁気嵐の主相ならびに回復相におけるプラズマシート電子の内側境界の位置とエネルギー依存性を調べた。プラズマシートを構成する高エネルギー粒子は、磁気圏対流により磁気圏尾部領域から地球方向に輸送されるが、地球近傍では電子は朝側、イオンは夕方側へとドリフトすることとなり、一定の距離よりも内側には侵入できない。この動径方向の境界をinner edgeと呼ぶ。ドリフト軌道は粒子のエネルギーにより異なるため、inner edgeの位置が粒子のエネルギーにより異なる。Inner edgeは大体3 ~ 7 RE付近に形成されている。プラズマシート粒子のふるまいは極域電離圏でのオーロラ活動とも密接に関連している。
過去の研究により、プラズマシートのinner edgeの位置と地磁気指数との対応が議論されている。しかし、AE指数との比較やローカルタイム依存性など、サブストーム時のinner edgeに焦点が置かれており、磁気嵐の各相でのinner edgeの位置やDst指数との関係については議論の余地が残されている。そこで本研究では、keV帯のプラズマシート電子のinner edgeに着目し、磁気嵐の主相ならびに回復相におけるinner edgeについて調べた。解析にはTHEMIS衛星に搭載されているESA(Electrostatic Analyzer)により取得された0.75 keVから8.94keVのエネルギーレンジの電子フラックスデータを使用した。まず、2013年7月6日と2012年6月17日の磁気嵐中に同定されたinner edgeについてのイベント解析を行った。さらに、2007年3月から2013年にかけて発生した磁気嵐(主相78例、回復相174例)を同定し、各相でのinner edgeの位置について統計解析を行った。
イベント解析の結果から、inner edgeの位置は磁気嵐の主相の方が回復相よりも地球に近い所に位置していることが示された。主相においてはおおよそ3 ~4 RE付近に形成されていたinner edgeが、回復相では4 ~ 10 RE付近に位置していたことが示された。またFrank et al. [1971]によると、0.7 ~ 20 keVの範囲でエネルギーの低い電子のinner edgeの方が地球に近づくと報告されていた。しかし、主相時の1 keVと9 keVのinner edgeの位置の差は0.6未満であり、明確なエネルギー依存性が見られず、どのエネルギー帯 (0.75 ~ 8.94 keV)でも同程度の位置にinner edgeが同定された。一方で、回復相でのinner edgeはFrank et al.の結果と同様なエネルギー依存性を示していた。以上の傾向は、統計解析の結果からも確認され、主相時のinner edgeの典型的な位置は3.9 RE付近であることが明らかとなった。本研究では、Jiang et al. [2011]によって提案された定常ドリフト境界モデル及びVolland-Stern対流電場モデル[Volland et al., 1973]を用いて計算して求めたinner edgeの位置と観測結果を比較した。その結果、既存の電場モデルでは磁気嵐中のinner edgeを完全には説明できず、その傾向は回復相において特に顕著に見られた。この結果は,磁気圏回復相において,Volland-Sternモデルでは再現されない電場が内部磁気圏に生じていることを示唆している.今後は磁気嵐時の内部磁気圏電場の空間分布について調べていく。
過去の研究により、プラズマシートのinner edgeの位置と地磁気指数との対応が議論されている。しかし、AE指数との比較やローカルタイム依存性など、サブストーム時のinner edgeに焦点が置かれており、磁気嵐の各相でのinner edgeの位置やDst指数との関係については議論の余地が残されている。そこで本研究では、keV帯のプラズマシート電子のinner edgeに着目し、磁気嵐の主相ならびに回復相におけるinner edgeについて調べた。解析にはTHEMIS衛星に搭載されているESA(Electrostatic Analyzer)により取得された0.75 keVから8.94keVのエネルギーレンジの電子フラックスデータを使用した。まず、2013年7月6日と2012年6月17日の磁気嵐中に同定されたinner edgeについてのイベント解析を行った。さらに、2007年3月から2013年にかけて発生した磁気嵐(主相78例、回復相174例)を同定し、各相でのinner edgeの位置について統計解析を行った。
イベント解析の結果から、inner edgeの位置は磁気嵐の主相の方が回復相よりも地球に近い所に位置していることが示された。主相においてはおおよそ3 ~4 RE付近に形成されていたinner edgeが、回復相では4 ~ 10 RE付近に位置していたことが示された。またFrank et al. [1971]によると、0.7 ~ 20 keVの範囲でエネルギーの低い電子のinner edgeの方が地球に近づくと報告されていた。しかし、主相時の1 keVと9 keVのinner edgeの位置の差は0.6未満であり、明確なエネルギー依存性が見られず、どのエネルギー帯 (0.75 ~ 8.94 keV)でも同程度の位置にinner edgeが同定された。一方で、回復相でのinner edgeはFrank et al.の結果と同様なエネルギー依存性を示していた。以上の傾向は、統計解析の結果からも確認され、主相時のinner edgeの典型的な位置は3.9 RE付近であることが明らかとなった。本研究では、Jiang et al. [2011]によって提案された定常ドリフト境界モデル及びVolland-Stern対流電場モデル[Volland et al., 1973]を用いて計算して求めたinner edgeの位置と観測結果を比較した。その結果、既存の電場モデルでは磁気嵐中のinner edgeを完全には説明できず、その傾向は回復相において特に顕著に見られた。この結果は,磁気圏回復相において,Volland-Sternモデルでは再現されない電場が内部磁気圏に生じていることを示唆している.今後は磁気嵐時の内部磁気圏電場の空間分布について調べていく。