18:15 〜 19:30
[MIS34-P10] 完新世における東南極宗谷海岸の丸湾南池・丸湾大池の古湖沼学的変遷
キーワード:南極沿岸湖沼, 古環境学, 古湖沼学, 珪藻, 完新世
南極氷床は地球上の氷の約 90 % を占める最大の氷床である。南極大陸は、莫大な氷床があることにより地球全体の気候に重要な働きをしているとともに、地球全体の変化が堅調に反映される場所でもある。研究対象地である東南極の宗谷海岸には、南極氷床の後退により形成された多くの湖沼が分布している。その中、海抜高度20 m以下に位置する沿岸湖沼は氷床の拡大期には海であったところが氷床の後退により陸化し、湖沼として形成されたとみられている。
本研究では、南極宗谷海岸の丸湾大池と丸湾南池の湖底堆積物コア(それぞれMw4C-01、MwS4C-01)について、Matsumoto et al. (in prep)により全炭素(TC),全有機炭素(TOC),全窒素(TN),全無機炭素(TIC)および全硫黄(TS)濃度の測定及び放射性炭素 14C 法による年代測定を行った。その結果に加え、顕微鏡を用いた珪藻化石の観察・同定を行い、隣接している二つの湖沼を比較することで完新世における古湖沼学的変遷の解明を目的とする。
丸湾南池の場合、元素分析の結果及び珪藻分析の結果から深さ 70cm (約2,200 cal BP)で、Fragilariopsis curutaやNavicula glacieのような海洋性珪藻が主に産出する海成層から、Diadesmis属の淡水性珪藻が産出する淡水成層と変遷したことが分かった。
丸湾大池の場合、丸湾大池堆積物コアの表層から深さ 28 cm までは淡水環境を反映するコケを含むシアノバクテリア堆積物から成っており、深さ 35 cm から 226 cm までは海水環境を反映するラミナを伴う有機質泥から成っていた。このことから,海水環境から淡水環境へ変化した境界は深さ 30 cm 付近であると考えられる。今後、丸湾大池の堆積物コアについて、化石珪藻の群集変化の結果を加え、海水環境から淡水環境への変遷過程を明らかにする予定である。
本研究では、南極宗谷海岸の丸湾大池と丸湾南池の湖底堆積物コア(それぞれMw4C-01、MwS4C-01)について、Matsumoto et al. (in prep)により全炭素(TC),全有機炭素(TOC),全窒素(TN),全無機炭素(TIC)および全硫黄(TS)濃度の測定及び放射性炭素 14C 法による年代測定を行った。その結果に加え、顕微鏡を用いた珪藻化石の観察・同定を行い、隣接している二つの湖沼を比較することで完新世における古湖沼学的変遷の解明を目的とする。
丸湾南池の場合、元素分析の結果及び珪藻分析の結果から深さ 70cm (約2,200 cal BP)で、Fragilariopsis curutaやNavicula glacieのような海洋性珪藻が主に産出する海成層から、Diadesmis属の淡水性珪藻が産出する淡水成層と変遷したことが分かった。
丸湾大池の場合、丸湾大池堆積物コアの表層から深さ 28 cm までは淡水環境を反映するコケを含むシアノバクテリア堆積物から成っており、深さ 35 cm から 226 cm までは海水環境を反映するラミナを伴う有機質泥から成っていた。このことから,海水環境から淡水環境へ変化した境界は深さ 30 cm 付近であると考えられる。今後、丸湾大池の堆積物コアについて、化石珪藻の群集変化の結果を加え、海水環境から淡水環境への変遷過程を明らかにする予定である。