11:45 〜 12:00
[SSS30-11] 2014年長野県北部の地震の前震と余震の震源パラメータの特徴
キーワード:長野県北部の地震, 震源パラメータ, 前震, 余震
2014年11月22日、長野県北部を震源とするM6.7の地震が発生し、神城断層の一部がずれ動いたことが報告されている。この地震の発生場の特徴を明らかにするため、本震の4日前から起こり始めた前震と余震活動について、震源決定と震源パラメータの推定を行った。
震源決定に際しては、この地域の速度構造の不均質性を考慮し、浅部の速度値が異なる2つの一次元速度構造モデルを仮定し、観測点毎に適切なモデルを適用した。得られた震源分布を気象庁一元化震源と比較すると、東側に2km弱移動し、深さ方向に最大で5km程度浅くなった。全体として東傾斜が卓越しているが、震源域の中部から北部にかけては鉛直ないし西傾斜の分布も確認できる。前震活動は深さ3km前後に分布し、余震とは明らかに異なる北北西に傾斜した面に分布していた。前震の震源移動を見ると、深いところから開始し、徐々に浅いところに移動していき、最終的に本震の破壊開始点に至る様子が確認できた。
次に発震機構解の推定を行った。本研究ではP波初動極性に振幅情報を加味することで、M0.5以上の地震の解を安定して決定することができた。余震は横ずれ型や横ずれ成分に卓越する解が多いが、震源域南部では逆断層タイプが卓越している。この特徴は余震分布と概ね調和的である。前震の発震機構解は北北西傾斜の節面を持ち横ずれ成分に卓越する解が多く、こちらも震源分布と調和的である。興味深いことに、時間の経過とともに逆断層成分が増えていき、21日頃から本震のP波初動解に極めて類似したイベントが起こり始めている点である。気象庁一元化カタログには前震が56個含まれているが、直近の観測点であるHi-net白馬観測点のランニングスペクトルとS-P時刻を目視確認することで、400を超えるイベントを新たに検出できた。これらのイベントの震源決定と発震機構解の推定を行うことで、前震活動と本震発生との関係がさらに明らかになるものと期待できる。
発表においては応力降下量の推定も行い、前震と余震の性質の違いや空間分布の特徴についても議論する。
謝辞:解析には防災科研(Hi-net)、気象庁、東大地震研、京大防災研のデータを使用させていただきました。記して感謝致します。
震源決定に際しては、この地域の速度構造の不均質性を考慮し、浅部の速度値が異なる2つの一次元速度構造モデルを仮定し、観測点毎に適切なモデルを適用した。得られた震源分布を気象庁一元化震源と比較すると、東側に2km弱移動し、深さ方向に最大で5km程度浅くなった。全体として東傾斜が卓越しているが、震源域の中部から北部にかけては鉛直ないし西傾斜の分布も確認できる。前震活動は深さ3km前後に分布し、余震とは明らかに異なる北北西に傾斜した面に分布していた。前震の震源移動を見ると、深いところから開始し、徐々に浅いところに移動していき、最終的に本震の破壊開始点に至る様子が確認できた。
次に発震機構解の推定を行った。本研究ではP波初動極性に振幅情報を加味することで、M0.5以上の地震の解を安定して決定することができた。余震は横ずれ型や横ずれ成分に卓越する解が多いが、震源域南部では逆断層タイプが卓越している。この特徴は余震分布と概ね調和的である。前震の発震機構解は北北西傾斜の節面を持ち横ずれ成分に卓越する解が多く、こちらも震源分布と調和的である。興味深いことに、時間の経過とともに逆断層成分が増えていき、21日頃から本震のP波初動解に極めて類似したイベントが起こり始めている点である。気象庁一元化カタログには前震が56個含まれているが、直近の観測点であるHi-net白馬観測点のランニングスペクトルとS-P時刻を目視確認することで、400を超えるイベントを新たに検出できた。これらのイベントの震源決定と発震機構解の推定を行うことで、前震活動と本震発生との関係がさらに明らかになるものと期待できる。
発表においては応力降下量の推定も行い、前震と余震の性質の違いや空間分布の特徴についても議論する。
謝辞:解析には防災科研(Hi-net)、気象庁、東大地震研、京大防災研のデータを使用させていただきました。記して感謝致します。