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[BCG28-14] 砂岩の吸水速度とその律速過程
キーワード:毛管力, 吸水速度, 間隙
岩石と水が接触すると,毛管力により岩石の間隙に水が吸込まれる。水の浸透距離x ,時間 t ,管の半径r の関係として,Lucas-Washburn(L-W)式がよく用いられる:x2=rγtcosθ/2μ( γ:表面張力, θ:接触角,μ :粘度)。L-W式に実測したx とt を代入すると,一般にr は主要な間隙径よりもかなり小さくなる。この原因が,L-W式で考慮していない因子によるのか,それとも,実際に小さな間隙の吸水速度が全体の吸水速度を支配しているのかを,Berea砂岩を用いて調べた。この砂岩は半径1-100 μm の間隙が主体で,そのうち95%以上が半径3 μmより大きな間隙である。まず,全ての間隙に水が浸透しうる状態(乾燥状態)で岩石コア(直径2.6 cm,高さ5.4 cm)の下部を水に浸し,x,tを測定した。次に,全間隙を水で満たしたコアにガス圧をかけて3 μmより大きな間隙の水を押し出し,3 μmより大きな間隙のみに水が浸透しうる状態でx ,t を測定した。その結果,水を押し出す処理を行った場合と比べて,乾燥状態では吸水速度(=x/t)が約1/2になった。この結果は,小さな間隙へ水が浸透すると全体の吸水速度が遅くなることを示しており,小さな間隙中で進む遅い吸水が全体の吸水を律速していることを示唆する。