日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG28] 生命-水-鉱物-大気相互作用

2015年5月26日(火) 16:15 〜 18:00 105 (1F)

コンビーナ:*白石 史人(広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻)、大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)、鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、高井 研(海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター)、上野 雄一郎(東京工業大学大学院地球惑星科学専攻)、長沼 毅(広島大学大学院生物圏科学研究科)、掛川 武(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、横山 正(大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)、中村 謙太郎(独立行政法人海洋研究開発機構 (JAMSTEC) システム地球ラボ プレカンブリアンエコシステムラボユニット)、座長:鈴木 庸平(東京大学大学院理学系研究科)、大竹 翼(北海道大学大学院工学研究院 環境循環システム部門)

17:15 〜 17:30

[BCG28-14] 砂岩の吸水速度とその律速過程

*綱澤 有哉1横山 正2西山 直毅2 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻、2.大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)

キーワード:毛管力, 吸水速度, 間隙

岩石と水が接触すると,毛管力により岩石の間隙に水が吸込まれる。水の浸透距離x ,時間 t ,管の半径r の関係として,Lucas-Washburn(L-W)式がよく用いられる:x2=rγtcosθ/2μγ:表面張力, θ:接触角,μ :粘度)。L-W式に実測したxt を代入すると,一般にr は主要な間隙径よりもかなり小さくなる。この原因が,L-W式で考慮していない因子によるのか,それとも,実際に小さな間隙の吸水速度が全体の吸水速度を支配しているのかを,Berea砂岩を用いて調べた。この砂岩は半径1-100 μm の間隙が主体で,そのうち95%以上が半径3 μmより大きな間隙である。まず,全ての間隙に水が浸透しうる状態(乾燥状態)で岩石コア(直径2.6 cm,高さ5.4 cm)の下部を水に浸し,xtを測定した。次に,全間隙を水で満たしたコアにガス圧をかけて3 μmより大きな間隙の水を押し出し,3 μmより大きな間隙のみに水が浸透しうる状態でxt を測定した。その結果,水を押し出す処理を行った場合と比べて,乾燥状態では吸水速度(=x/t)が約1/2になった。この結果は,小さな間隙へ水が浸透すると全体の吸水速度が遅くなることを示しており,小さな間隙中で進む遅い吸水が全体の吸水を律速していることを示唆する。