日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32] 地球掘削科学

2015年5月24日(日) 09:00 〜 10:45 304 (3F)

コンビーナ:*斎藤 実篤(独立行政法人海洋研究開発機構)、道林 克禎(静岡大学理学研究科地球科学専攻)、廣野 哲朗(大阪大学 大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)、梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、座長:梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、黒田 潤一郎(独立行政法人海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)

09:45 〜 10:00

[MIS32-04] 完新世におけるバルト海の河口域堆積物を用いた古環境復元(Exp. 347)

*オブラクタ スティーブン1A.T. Kotilainen2O. Hyttinen3T. Andren4D. Ryabchuk5I. Snowball6Y. Yokoyama7Exp. 347 Science Party8 (1.秋田大学国際資源学部、2.Geological Survey of Finland (GTK)、3.University of Helsinki, Department of Geosciences and Geography、4.Sodertorn University, School of Natural Sciences、5.A.P. Karpinsky Russian Research Geological Institute (VSEGEI)、6.Uppsala University, Department of Earth Sciences - Natural Resources and Sustainable Development、7.東京大学大気海洋研究、8.International Ocean Discovery Program (IODP))

国際深海掘削計画(IODP)のExp.347航海において、Angermanalven河口の2カ所のサイトで掘削が行われた。1万年前にスカンジナビア氷床の退氷がおきたとされるサイトM0061とM0062は、年縞がよく保存されているという特徴がある。これまで、現生の年縞の形成過程について研究した先行研究によると、AD1907?AD1977に形成された平均年縞幅と河川流量の相関が高いということが分かっている。そこで本研究のサイトM0061とM0062では、より長い堆積シーケンスから年縞幅などを用いて過去の河川流量を復元し、古環境を復元することが目的である。
この発表では、M0062の予察的な結果を紹介する。サイトM0062では36メートルの堆積シーケンスを確認し、2つの岩相単位に分けられることがわかった。より下位のUnit2(17.09-35.9 mbsf)は、淘汰の良い砂層からなっており、氷河性の河川堆積物であることが岩相から明らかとなった。また、上位のUnit 1 (0-17.09 mbsf)では、氷河性の年縞堆積物から氷河性の河川堆積物、更に氷河性の汽水および海洋堆積物へと遷移する様子が捉えられている。これまでに最上部18mについては、粒度分析および元素分析を0.3-0.5mおきに行った。また最上部の26mについては、1cmの間隔でXRFスキャナによる元素分析を行った。さらに特定の部位については1mm間隔での高分解能の分析を行っている。
本講演ではこれまでの取得データを紹介するとともに、バルト海沿岸における最終退氷期および完新世の古環境復元について、得られつつある知見について発表する予定である。