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[SSS31-08] 2011年東北地方太平洋沖地震の粘弾性緩和による変動の特徴
キーワード:東北地方太平洋沖地震, 余効変動, 粘弾性緩和
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の発生に引き続いて、大規模な余効変動が広範囲に観測されている。GEONETによって観測されている陸域の水平変動は概ね東向きである。上下変動は岩手県北部を除く太平洋側では隆起、東北地方内陸から日本海側にかけては沈降が広がっている。そして、関東から甲信越地方と北海道南部では隆起が観測されている。一方、東北地方太平洋沖に設置されている海上保安庁による海底地殻変動観測点では、宮城県沖合では西向きの変位が観測され、福島県沖と千葉県東方沖では陸域と同じく東向きの変位が観測されている。海域の上下変動はいずれの場所も沈降の傾向が観測されている。余効変動の発生メカニズムには、余効すべりと粘弾性緩和の大きく2つのメカニズムがある。このうち、余効すべりで説明できる観測事実は、概ね陸域における東向きの変動、太平洋側の隆起と東北地方内陸の沈降であり、海域の水平・上下変動と関東から甲信越地方、北海道南部の隆起は説明することが困難である。本稿では粘弾性緩和による変動を数値計算により見積り、その変動の特徴を報告する。
粘弾性緩和による変動は、マントルウェッジと海洋マントルの粘性率の比率に大きく左右されることが分かった。海洋マントルの粘弾性緩和によって、西向きの変動と広域的な沈降が引き起こされる。一方、マントルウェッジの粘弾性緩和は、東向きの変動と隆起を引き起こし、概ね海洋マントルの粘弾性緩和とは逆向きの変動である。つまり、定性的には海底地殻変動観測点での西向き及び沈降の傾向は、海洋マントルによる粘弾性緩和によって引き起こされ、陸域の東向きの変動及び隆起は、マントルウェッジの粘弾性緩和によって引き起こされていると考えられる。マントルウェッジに比べて海洋マントルの粘性率が小さい場合には、西向きの変位と広域的な沈降が卓越する。逆に海洋マントルの粘性率が大きい場合には、マントルウェッジの粘弾性緩和が支配的となり、東向きの変位と太平洋側の陸域において隆起域が卓越することなる。観測されている変動を定量的に説明するには、マントルウェッジと海洋マントルの粘性率の比率が重要である。
粘弾性緩和による変動は、マントルウェッジと海洋マントルの粘性率の比率に大きく左右されることが分かった。海洋マントルの粘弾性緩和によって、西向きの変動と広域的な沈降が引き起こされる。一方、マントルウェッジの粘弾性緩和は、東向きの変動と隆起を引き起こし、概ね海洋マントルの粘弾性緩和とは逆向きの変動である。つまり、定性的には海底地殻変動観測点での西向き及び沈降の傾向は、海洋マントルによる粘弾性緩和によって引き起こされ、陸域の東向きの変動及び隆起は、マントルウェッジの粘弾性緩和によって引き起こされていると考えられる。マントルウェッジに比べて海洋マントルの粘性率が小さい場合には、西向きの変位と広域的な沈降が卓越する。逆に海洋マントルの粘性率が大きい場合には、マントルウェッジの粘弾性緩和が支配的となり、東向きの変位と太平洋側の陸域において隆起域が卓越することなる。観測されている変動を定量的に説明するには、マントルウェッジと海洋マントルの粘性率の比率が重要である。