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[PEM27-05] ノルウェー・トロムソでオーロラ擾乱時に観測されたスポラディックナトリウム層の生成機構の研究
キーワード:スポラディックナトリウム層, ナトリウムライダー, 極域, オーロラ, 中間圏・下部熱圏
極域ではスポラディックナトリウム層(SSL)の生成に荷電粒子と中性粒子の相互作用が大きく寄与していると考えられており、磁気圏-電離圏-熱圏結合を理解する上で、極域におけるSSLの生成機構の理解は非常に重要である。これまで35年にわたるSSLの観測研究で、スポラディックE(Es)層、背景大気温度変化による化学反応の促進、大気重力波によるナトリウム原子の下方輸送、流星による直接のナトリウム原子の供給、オーロラ降下粒子による叩き出しなどの様々な生成メカニズムが提唱されている。しかし、SSLの生成機構に関するこれらの研究は定性的な議論が先行しており、定量的な研究は少ない。SSLの生成機構の理解のためには、これまで提唱された生成機構の観測的証拠が求められている。本研究ではノルウェー・トロムソでオーロラ擾乱時に観測されたSSLの生成機構について、ナトリウムライダー、EISCATレーダー、流星レーダーの観測データに基づき調査を行った。
オーロラ活動が活発であった、2012年1月22日にナトリウムライダーによってSSLが観測された。SSLは21:18 UTから18分間存在し、最大ナトリウム密度およびその高度は、1.9×1010 m-3、93 kmであった。20:00-23:00 UTにおいて、EISCAT UHFレーダーによってEs層が観測された。Es層はSSL発生時間帯にSSLと同じ高度に位置していたため、Es層がSSLの生成に寄与した可能性がある。しかし、Es層内に存在するナトリウムイオン密度の最大値を見積り、そのナトリウムイオンがすべてナトリウム原子に変換されたと仮定しても、SSLのナトリウム密度の21%にしか満たないことが明らかになった。一方、EISCAT UHFレーダーで観測された電場の向きは20:00 UT-21:10 UT、荷電粒子を下方に加速させる向きであった。そこでナトリウム層上部に存在するナトリウムイオン層の密度高度分布として先行研究で提唱された値を用い、電場による下方輸送と化学反応によるナトリウム原子の生成・消滅の効果を観測データに基づく数値解析から見積もった。その際に、ナトリウム層上部に存在するナトリウムイオン層の密度高度分布として、先行研究で提唱された値を用いた。その結果、本事例では、SSLのナトリウム密度の88%を説明できることが分かった。これらのことから、SSLの主要なソースはナトリウムイオン層であること、ほぼ南西向きの強い電場がSSLの生成に支配的な役割を果たしたことを観測データに基づいて示した。
オーロラ活動が活発であった、2012年1月22日にナトリウムライダーによってSSLが観測された。SSLは21:18 UTから18分間存在し、最大ナトリウム密度およびその高度は、1.9×1010 m-3、93 kmであった。20:00-23:00 UTにおいて、EISCAT UHFレーダーによってEs層が観測された。Es層はSSL発生時間帯にSSLと同じ高度に位置していたため、Es層がSSLの生成に寄与した可能性がある。しかし、Es層内に存在するナトリウムイオン密度の最大値を見積り、そのナトリウムイオンがすべてナトリウム原子に変換されたと仮定しても、SSLのナトリウム密度の21%にしか満たないことが明らかになった。一方、EISCAT UHFレーダーで観測された電場の向きは20:00 UT-21:10 UT、荷電粒子を下方に加速させる向きであった。そこでナトリウム層上部に存在するナトリウムイオン層の密度高度分布として先行研究で提唱された値を用い、電場による下方輸送と化学反応によるナトリウム原子の生成・消滅の効果を観測データに基づく数値解析から見積もった。その際に、ナトリウム層上部に存在するナトリウムイオン層の密度高度分布として、先行研究で提唱された値を用いた。その結果、本事例では、SSLのナトリウム密度の88%を説明できることが分かった。これらのことから、SSLの主要なソースはナトリウムイオン層であること、ほぼ南西向きの強い電場がSSLの生成に支配的な役割を果たしたことを観測データに基づいて示した。