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[ACC28-06] デジタル定点撮影による高山帯の融雪モニタリング
温暖化の影響による高山植物の種類や生育場所、開花時期などのさまざまな変化が世界各地で報告されており、長期的なモニタリングの必要性が世界的に認識されている。日本の中部山岳地域は世界有数の豪雪地帯であり、気候変動による積雪量や融雪時期の変化は高山域の生態系に影響を与えると考えられる。しかし、高山域はその厳しい自然条件とアクセスの難しさから、これまで詳細なデータを広範囲で連続的に取得することが困難であった。国立環境研究所では、山小屋との連携により既存のライブカメラ画像を有効利用する一方で、より高解像度のカメラの設置を進め、リアルタイムかつ多地点の積雪・融雪過程の把握や植生フェノロジーの観測を目的とした高山帯モニタリングを行っている。日本の最北端の高山帯である利尻岳と、標高3000m級の山々が連なる槍穂連峰などの北アルプスを中心に観測点を整備し、同時に撮影画像の解析手法の開発を行っている。大津の二値化により雪の被覆箇所を自動的にマッピングする手法を開発し、各サイトのデジタル画像に適用することで融雪過程の変化を求めた。詳細なデジタル標高モデルが入手できる一部の山岳については、斜めや真横から撮影している観測画像を正射投影(オルソ化)することで、等高線や地理情報との重ね合わせを可能とし、融雪パターンや速度に対する地形的な考察を可能とした。