15:24 〜 15:27
[MTT42-P04] フランスの交通・産業・都市の発達と地形・水系の関係
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:運河, 輸送, 地形
現在は世界屈指の観光大国であるフランスであるが、近代の国としての発展の歴史は舟運の発展の歴史といっても過言ではない。同国における航行可能な水路網延長は8500kmとなっており、これはヨーロッパで最長である。大型の1000トン以上の船が航行可能なのは、全体のおよそ20%にも及ぶ。航行可能な水路網とは、一部の自然河川及び運河を含む。ロワール川、セーヌ川、ローヌ川など航行可能な大河川沿いに都市が点在していたフランスでは、近世に入り技術の発展に伴いこうした河川同士を運河によって結びつけ物流が盛んになっていった。代表的なものとしてはロワール川とセーヌ川を繋ぐ1642年ブリアール運河、南部ではガロンヌ川と地中海を結ぶ1694年のミディ運河、1832年のローヌ川とセーヌ川を接続するブルゴーニュ運河などである。運河の発達により建設材料や穀物を始めとする農作物、金属などの物流が盛んになり、フランスは経済的に成長していく。
こうしたなかで、19世紀に入ると今度は鉄道網が急速に発展していく。1832年にサン=テティエンヌ~リヨン間が開業したのを皮切りに整備が続き、1860年には主要な大都市はほぼ鉄道によって行き来できるようになった。国内貨物輸送の輸送手段別シェアでも鉄道はトップに立った。また、迅速に多量の物資を輸送できることで、絶対的な輸送量自体も急激に増加し、都市間の交易はさらに盛んに行われるようになった。
さらに、20世紀には今度は道路網が発達してきた。自動車の登場により国道、県道などの総延長は約8000kmに達した。これは当時としては世界最高の道路網であったとされる。このためフランスでは新たに高速道路を建設する必要はないとの方針を採っていたが、戦後の急速なモータリゼーションに対応するため、1950年代になってようやく高速道路整備が始まった。こうして現在の国内貨物輸送手段のシェアはその8割以上を道路輸送が占めるようになった。また、鉄道と導入時と同様に、輸送総量自体も急増していった。
このようにフランスの輸送形態は舟運→鉄道→道路と時代を追って変化し、その度に都市も拡大してきた。本研究ではそれぞれの輸送形態は地形に応じて異なったルートを選択している例を示すことができた。技術の発展により高低差による影響を受けずに効率的、合理的なルート選択が可能となってきたことが分かる。
こうした地形と人間の実生活とのかかわりは他にもある。世界屈指のワイン大国として世界に名を馳せるフランス。大規模なブドウ畑が有名である。ブドウの栽培には緩やかな南向きもしくは東向きの斜面のある場所が適しているといわれている。これらの一般論についての検証を、アルザスやプロヴァンスなど代表的なブドウの産地の事例を用いて行った。
こうしたなかで、19世紀に入ると今度は鉄道網が急速に発展していく。1832年にサン=テティエンヌ~リヨン間が開業したのを皮切りに整備が続き、1860年には主要な大都市はほぼ鉄道によって行き来できるようになった。国内貨物輸送の輸送手段別シェアでも鉄道はトップに立った。また、迅速に多量の物資を輸送できることで、絶対的な輸送量自体も急激に増加し、都市間の交易はさらに盛んに行われるようになった。
さらに、20世紀には今度は道路網が発達してきた。自動車の登場により国道、県道などの総延長は約8000kmに達した。これは当時としては世界最高の道路網であったとされる。このためフランスでは新たに高速道路を建設する必要はないとの方針を採っていたが、戦後の急速なモータリゼーションに対応するため、1950年代になってようやく高速道路整備が始まった。こうして現在の国内貨物輸送手段のシェアはその8割以上を道路輸送が占めるようになった。また、鉄道と導入時と同様に、輸送総量自体も急増していった。
このようにフランスの輸送形態は舟運→鉄道→道路と時代を追って変化し、その度に都市も拡大してきた。本研究ではそれぞれの輸送形態は地形に応じて異なったルートを選択している例を示すことができた。技術の発展により高低差による影響を受けずに効率的、合理的なルート選択が可能となってきたことが分かる。
こうした地形と人間の実生活とのかかわりは他にもある。世界屈指のワイン大国として世界に名を馳せるフランス。大規模なブドウ畑が有名である。ブドウの栽培には緩やかな南向きもしくは東向きの斜面のある場所が適しているといわれている。これらの一般論についての検証を、アルザスやプロヴァンスなど代表的なブドウの産地の事例を用いて行った。