17:33 〜 17:36
[SEM34-P08] 北西大西洋ニューファンドランド沖の IODP Site U1403 から採取された海洋コアの岩石磁気特性
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:地磁気, 古地磁気強度, 海底堆積物
海底堆積物は過去の環境変動を時間的にほぼ連続して記録している試料であり,地質時代に遡る環境変動を解明する上で重要な情報源となる.統合国際深海掘削計画 (IODP) 第 342 次研究航海では,暁新世から始新世の気候変動解明を目的に,北西大西洋ニューファンドランド沖から海底堆積物が掘削された (Expedition 324 Scientisits, 2012).我々は当該期間における古地磁気強度相対値変動を解明することを目指しており, そのためには岩石磁気的に比較的均質な層準を見いだす必要がある.本研究では Site U1403のHole Aより約1.5 mの間隔で採取した88個のDiscrete Sample (25-160 mcd: meter composite depth)を対象に予察的な岩石磁気測定を行った.
低温磁気分析の結果,Verwey点は一部の層準で僅かに確認されたが,大部分の層準では確認できなかったため,チタンに乏しい(チタノ)マグネタイトはあまり含有されていないと推定した.また,約117 mcd以深の層準では約25Kに相変態点が確認されたため,ロードクロサイトが含まれていると推定した.
熱磁気分析の結果では,コア全体を通して約400℃に磁化の増加,約580℃および約670℃にCurie点が確認された.しかし,低温磁気分析においてVerwey点が一部の層準を除いて確認されないことから,約580℃のCurie点は(チタノ)マグヘマイトの熱分解によるものだと考えられる.これらのことから(チタノ)マグヘマイトおよび(チタノ)ヘマタイトが含まれていると推定した.
ARMは100 μTの直流磁場と80 mTの交流磁場を作用させることで印加した. 50-90 mcdの層準においては3~5×10-4 (A/m)程度の一定した強い強度を示すことが確認された.それ以外の層準では強度は一定せず,10-6 (A/m)程度まで弱くなる変動を示す部分も見受けられた.この傾向は2.5 Tの直流磁場により印加したIRMにおいても同様であり,50-90 mcdの層準では1~3×10-3 (A/m)程度と一定した強い磁化強度を示し,それ以外の層準では一定せずに10-5 (A/m)程度まで弱くなる変動を示す部分もあった.
磁気的粒度あるいは相互作用の指標となるARM/IRM比は,主に0.15および0.05の層準に二分され,50-90 mcdの層準では0.15付近の一定値を示した.磁性粒子の保磁力構成比の指標となるS比(-0.1T, -0.3T)においても50-90 mcdの層準は一定値を示す傾向が確認され,S(-0.1T)では約0.97,S(-0.3T)では約0.98であった.
磁化強度が比較的強く,各種岩石磁気パラメーターが比較的高い値で一定している50-90 mcdの層準は,続成作用の影響が少なく,岩石磁気的にも比較的均質であると考えられる.したがって,この層準が古地磁気強度相対値変動の推定に適していることが示唆される.
低温磁気分析の結果,Verwey点は一部の層準で僅かに確認されたが,大部分の層準では確認できなかったため,チタンに乏しい(チタノ)マグネタイトはあまり含有されていないと推定した.また,約117 mcd以深の層準では約25Kに相変態点が確認されたため,ロードクロサイトが含まれていると推定した.
熱磁気分析の結果では,コア全体を通して約400℃に磁化の増加,約580℃および約670℃にCurie点が確認された.しかし,低温磁気分析においてVerwey点が一部の層準を除いて確認されないことから,約580℃のCurie点は(チタノ)マグヘマイトの熱分解によるものだと考えられる.これらのことから(チタノ)マグヘマイトおよび(チタノ)ヘマタイトが含まれていると推定した.
ARMは100 μTの直流磁場と80 mTの交流磁場を作用させることで印加した. 50-90 mcdの層準においては3~5×10-4 (A/m)程度の一定した強い強度を示すことが確認された.それ以外の層準では強度は一定せず,10-6 (A/m)程度まで弱くなる変動を示す部分も見受けられた.この傾向は2.5 Tの直流磁場により印加したIRMにおいても同様であり,50-90 mcdの層準では1~3×10-3 (A/m)程度と一定した強い磁化強度を示し,それ以外の層準では一定せずに10-5 (A/m)程度まで弱くなる変動を示す部分もあった.
磁気的粒度あるいは相互作用の指標となるARM/IRM比は,主に0.15および0.05の層準に二分され,50-90 mcdの層準では0.15付近の一定値を示した.磁性粒子の保磁力構成比の指標となるS比(-0.1T, -0.3T)においても50-90 mcdの層準は一定値を示す傾向が確認され,S(-0.1T)では約0.97,S(-0.3T)では約0.98であった.
磁化強度が比較的強く,各種岩石磁気パラメーターが比較的高い値で一定している50-90 mcdの層準は,続成作用の影響が少なく,岩石磁気的にも比較的均質であると考えられる.したがって,この層準が古地磁気強度相対値変動の推定に適していることが示唆される.