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[MIS26-P14] 人工団粒と人工マクロポアを使った強雨後の土壌水分プロファイルの基礎的検討
キーワード:団粒, マクロポア, 土壌水分, 浸透現象
土壌は陸域最大の炭素貯蔵庫でありながら,土地利用変化によって化石燃料の二割近い炭素を待機中に放出している.加えて,近年の気候変動による強い雨によって表土が流亡するなどの影響も受けており,耕耘をしすぎない営農のあり方が求められている.土壌が保全されると,団粒が形成される場合と植物の根の伸張により根成孔隙が形成される場合が考えられるが,生態工学的手法を用いた早い環境改善の試みとして,人工造粒を行うこと,人工マクロポアを作ることが考えられる.そこで本研究では,人工造粒を行った土壌と人工マクロポアを作った土壌について,短時間で強雨が降り,蒸発強度が強い地域を想定し,雨水の浸透とその後の蒸発の影響が土壌水分プロファイルにどのように現れるのかを実験的に調べた.貧栄養土壌であるマサ土に赤玉土を団粒(2-5mm,および5-10mm)と見立てた土壌カラム,根成孔隙が発達したと見立てた人工マクロポアを持つ土壌カラムを作成し,時間50mmの降雨を施し,蒸発量と土壌水分プロファイルを観察し続けた.すると,人工団粒カラムでは土壌表層部分で雨水が貯留され,それより深いところより1週間程度は水分が多いことがわかった.植物の発芽には初期水分と冠水しないことが大切であり,植物生育の初期にこれが効果的であるとわかった.他方,人工マクロポアは雨水を土壌深部にバイパスし,蒸発があったとしてもある一定深さに水分を貯留出来ることがわかった.ある程度植物が生育した後にはこの物理構造は効果的であると推測された.以上,人工団粒と人工マクロポアを使うことによって,土壌の物理的構造が水分貯留と蒸発抑制にどのように働くかについて,基本的な知見を得ることができた.