日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT52] 空中からの地球計測とモニタリング

2015年5月27日(水) 09:00 〜 10:45 102B (1F)

コンビーナ:*楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(理学))、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、座長:楠本 成寿(富山大学大学院理工学研究部(理学))、小山 崇夫(東京大学地震研究所)、大熊 茂雄(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、光畑 裕司(独立行政法人 産業技術総合研究所)

10:36 〜 10:39

[STT52-P03] 航空重力偏差探査による重力勾配テンソルを用いたフィルター及び半自動解釈手法

ポスター講演3分口頭発表枠

*楠本 成寿1 (1.富山大学大学院理工学研究部(理学))

地下構造推定,特に構造境界抽出における重力勾配テンソルの重要性や有用性は,1930年代後半頃から指摘されている。今日では,古典的な水平一次微分や鉛直一次微分,鉛直二次微分だけでなく,これらの組み合わせによる,より高度で複雑な構造境界検出手法が議論されてきている。これらは,地下の構造変化に伴う重力異常の空間変化を微分によって抽出する手法であり,いずれも重力異常の短波長成分を強調する,一種のハイパスフィルターである。

一般に,このようなフィルターを含め,地質学的・地球物理学的拘束条件を付加することなく,重力異常から地下構造境界等を推定する手法は,半自動解釈手法とよばれる。この解釈手法には,上記の重力異常の空間微分を用いる手法の他,重力勾配テンソルの固有値と固有ベクトルを用いる手法がある。

本講演では,まず,重力勾配テンソルを用いたフィルターおよび半自動解釈手法についてのレビューを行う。その後,FALCON (R) AGGにより得られた九重地域の重力勾配データに,16種類のハイパスフィルターと半自動解釈手法を適用し,個々の手法の特性,及び実用の際に必要と思われる改善点等について述べる。

なお,本研究成果は,JOGMECによる平成26年度空中重力調査データを地熱資源調査等に用いるための手法検討作業に関する委託業務により得られたものである。記して感謝致します。