18:15 〜 19:30
[SVC45-P24] 御嶽山田の原の傾斜計東西成分の降水補正(1)
キーワード:傾斜計, 御嶽山, 降水補正
気象庁が東海地震監視のために観測しているひずみ計のデータについては、タンクモデルを用いた降水補正(木村・他、2015)を順次業務に導入し、東海地震の前兆すべりの検知力向上が図られている。一方、気象庁が火山監視のために観測している傾斜計のデータについては、降水補正の唯一の入力値である降水量データを得るための雨量計が設置されていない観測点が多いことや、北日本や標高の高い所では無視することができない積雪・融雪などの影響を考慮した降水補正手法が確立できていないことから、木村・他(2015)による降水補正の効果は現段階では限定的であり、現段階では業務化には至っていない。
気象庁では、御嶽山の火山監視のために山頂の南東部に位置する田の原に傾斜計を2010年に設置し、監視してきた。しかし、これまでこの傾斜計のデータに潮汐補正は行われてきたものの、降水補正は行われていなかった。降水補正をしなくても、2014年9月の御嶽山の噴火に際し、数分前から急激な山上がりの変化が前兆としてあったことは、誰が見ても異論がないと思われる。一方、傾斜計の長期のデータを見ると、降水補正をしていない東西成分のデータは降水の影響が大きく、前兆となるような変化は確認することができなかった。
御嶽山の噴火を踏まえて、緊急的にこの傾斜計の東西成分についてタンクモデルを用いた降水補正を行ったところ、幸い田の原の傾斜計のすぐ近くには気象庁の御嶽山のアメダスがあることから、降水が雨である期間(6月~10月)については良好な結果を得ることができた。その結果、御嶽山の山頂直下で地震活動が活発化した2014年9月10日頃から山上がりの変化を確認することができた。国土地理院や気象庁のGNSS観測によれば9月上旬頃から御嶽山を挟む基線でごくわずかな伸びが確認されているものの、このような傾斜計の変化は過去にも数回確認されている。この傾斜計の変化を前兆と受け止めるか、ノイズと受け止めるか、人によって評価は分かれるところだと思われる。
傾斜計などの長期の地殻変動データを元に地下深部の現象を議論するためには、降水補正という技術が必須である。このポスターでは、御嶽山田の原の傾斜計データの降水補正を試みた調査を通じて、現状どこまで改善することが可能で、何が課題として残されているかについて紹介する。
気象庁では、御嶽山の火山監視のために山頂の南東部に位置する田の原に傾斜計を2010年に設置し、監視してきた。しかし、これまでこの傾斜計のデータに潮汐補正は行われてきたものの、降水補正は行われていなかった。降水補正をしなくても、2014年9月の御嶽山の噴火に際し、数分前から急激な山上がりの変化が前兆としてあったことは、誰が見ても異論がないと思われる。一方、傾斜計の長期のデータを見ると、降水補正をしていない東西成分のデータは降水の影響が大きく、前兆となるような変化は確認することができなかった。
御嶽山の噴火を踏まえて、緊急的にこの傾斜計の東西成分についてタンクモデルを用いた降水補正を行ったところ、幸い田の原の傾斜計のすぐ近くには気象庁の御嶽山のアメダスがあることから、降水が雨である期間(6月~10月)については良好な結果を得ることができた。その結果、御嶽山の山頂直下で地震活動が活発化した2014年9月10日頃から山上がりの変化を確認することができた。国土地理院や気象庁のGNSS観測によれば9月上旬頃から御嶽山を挟む基線でごくわずかな伸びが確認されているものの、このような傾斜計の変化は過去にも数回確認されている。この傾斜計の変化を前兆と受け止めるか、ノイズと受け止めるか、人によって評価は分かれるところだと思われる。
傾斜計などの長期の地殻変動データを元に地下深部の現象を議論するためには、降水補正という技術が必須である。このポスターでは、御嶽山田の原の傾斜計データの降水補正を試みた調査を通じて、現状どこまで改善することが可能で、何が課題として残されているかについて紹介する。