日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT04] Rheology of Earth's Interior

2015年5月28日(木) 14:15 〜 16:00 106 (1F)

コンビーナ:*大内 智博(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、唐戸 俊一郎(Yale University, Department of Geology and Geophysics)、道林 克禎(静岡大学理学研究科地球科学専攻)、座長:辻野 典秀(岡山大学・地球物質科学研究センター)

14:45 〜 15:00

[SIT04-08] オリビン多結晶体の合成と高温クリープ実験

*谷部 功将1平賀 岳彦1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:オリビン多結晶体の合成, 高温変形実験

マントル対流やアセノスフェアの成因を理解する上で、上部マントルの流動特性を決定することは非常に重要である。これまで、天然で産出したオリビンから作製されたオリビン多結晶体を用いて高温変形実験により、オリビン多結晶体の流動特性に対する温度、粒径、応力依存性や水やメルトによる効果が調べられ、上部マントルの理解が進んできた (Karato et al 1986, Hirth and Kohlstedt 1995, Hirth and Kohlstedt 2003)。しかしながら、Faul and Jackson (2007)が、試薬からゾル・ゲル法で人工的に合成したオリビン多結晶体が天然由来のオリビンよりも粘性率にして1 ~ 2桁固いことを報告し、オリビン多結晶体の流動則が確立されていないことが明らかになった。そこで、本研究では第三の手法を用いてオリビン多結晶体の合成を行い、変形実験によってその流動特性を調べた。また、先行研究の固さの違いの原因と推測される、微量な不純物を含んだオリビン多結晶体の合成と変形実験を行い、添加物が流動特性に与える影響を調べた。
試料作製には、高純度かつ細粒 (<100 nm) の試薬を用いて細粒な鉱物粉末を合成し、それを真空で焼結するという手法を用いた(Koizumi et al 2010)。その中で、鉄源としての原料粉の種類の最適化と、酸素分圧制御手法の開発をおこなった。添加物を含まない試料と、0.1wt%のAl2O3、CaO、NiO、TiO2をそれぞれ含む試料を作製した。それぞれについて変形実験を行ったところ、拡散クリープ条件下では添加物による大きな流動特性の変化は見られなかった。また、本研究の試料の固さはFaul and Jackson (2007) の人工的に合成されたオリビン多結晶体の固さと一致した。したがって、本研究で添加した不純物以外にオリビン多結晶体の流動特性を大きく変化させる化学種が存在することが示唆される。