日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG09] Satellite Earth Environment Observation

2015年5月28日(木) 14:15 〜 16:00 301B (3F)

コンビーナ:*沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、早坂 忠裕(東北大学大学院理学研究科)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)、高橋 暢宏(独立行政法人 情報通信研究機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、奈佐原 顕郎(筑波大学生命環境系)、中島 孝(東海大学情報理工学部情報科学科)、沖 大幹(東京大学生産技術研究所)、横田 達也(独立行政法人国立環境研究所)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、村上 浩(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)、岡本 創(九州大学)、座長:村上 浩(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)

14:45 〜 15:15

[ACG09-28] GOSATによる6年間の温室効果ガス観測と3年間の炭素収支推定

*横田 達也1菊地 信弘1吉田 幸生1井上 誠1森野 勇1内野 修1金 憲淑1髙木 宏志1齊藤 誠1Shamil Maksyutov1河添 史絵1網代 正孝1 (1.(独)国立環境研究所 地球環境研究センター)

キーワード:温室効果ガス, 二酸化炭素, メタン, カラム平均濃度, 炭素収支, 温室効果ガス観測技術衛星

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、2009年1月23日の打ち上げ以来、約6年間の運用が行われている。過去6年間におけるGOSATの標準プロダクトの全てが一般に公開され、そのいくつかについてはバージョンアップがなされている。GOSATの観測するスペクトルデータからは、主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)の濃度が導出されており、それらの相対精度(偏りを除く)はそれぞれ約0.5%と約0.7%である。さらに、これらの濃度データは、GOSATの最初の3年間の観測期間(2009年~2012年)におけるCO2とCH4の亜大陸スケール及び海盆スケールでの月別収支(吸収排出量)の推定に用いられている。また、GOSATによる濃度観測データは、温室効果ガスの時空間分布の変動解析にも利用されている。GOSATの観測データに基づく様々な解析結果が、複数の科学論文誌に掲載されている。

2014年には、衛星の太陽電池パドルやセンサのポインティング機構に若干の不具合が発生し、対処はなされたが、衛星に搭載されているフーリエ変換分光器の特性が若干変化した。これらは、観測データから導出される温室効果ガス濃度データにも少々影響が生じている。

当発表では、GOSATによる6年間にわたる温室効果ガス観測、導出された濃度データの全球分布とその変動、そして推定された地表面炭素収支の概要について報告する。また、GOSATの技術的な不具合が発生した後の2014年6月以降のデータの特性の変化について報告する。さらに、GOSATの研究公募のフレームワークでなされた研究成果の現状についても触れる。